南極猿手帖

だいたい音楽の話(邦:洋=2:8くらい)をしている人です。ライブに月1~3回くらい行ってます。

【The Raconteurs赤坂4/25レポ】ラカンターズこんなに好きだったっけ、みたいな熱狂

(我ながら前書きがうざいんで■まで飛ばしていただいてOKです)

結局、ザ・ラカンターズのチケットを取ってしまいました。

だって、ジャック・ホワイトだ。

 

2000年代のバンドでホワイト・ストライプスが一番好きなわけではないし、ソロになってからもそこまで熱心に追いかけてきたわけではない。

それでも、00年代以降のロックにずっと触れてきた人間にとっては、アイコンとしてこの上ない存在であることは確かなわけで。00年代以降、ロックを体現する人物を1人だけ挙げるとしたらこの人になるんじゃないでしょうか。そのくらい絶対的で、徹底した存在。え信者怖...

 

そんなわけで、チケットを買ったわけです。高え...

 

さてー。まずなぜ今ラカンターズなのかという話なんですが、それはまあ単純に6月にアルバムが出るからなんでしょうけど、どう見ても来日に積極的ではなさそうなジャック・ホワイトがラカンターズであっさり来日を決めたのはなんか納得いくところがあります。 

 

ラカンターズでのジャックはボーカリストであり、ギタリストでもあり、いちバンドメンバーになれる場です。同じくソロでの活動も経験しているブレンダンと2人でフロントマンを張れる点も大きいと思いますが、自分だけのソロやスーパーグループのデッド・ウェザーよりも幾分か気も楽に活動できてるような印象です。勝手な推測ですけど。

 

そんなわけで、ひっさしぶりの日本に来るにはなんとなくぴったりなバンドだなと思った次第です。

まあ、とにかくジャック・ホワイトを観られる千載一遇のチャンス。例によってド平日にぶつけてきやがったわけですが、取りました。4/25は2日目の公演に当たります。以下、そのレポ。

 

 

 

■しつこい前置きはさておき、ライブの話。

 

事前に聞いていた通り、スマホは専用のポーチ(※)を渡され、ライブ終了後まで開けられないようになります。もっと未来ガジェット的な物を期待してたんですけど意外にアナログな代物で、帰りに係員に1人ずつ開けてもらうというやり方。当然ですが帰りがけには長蛇の列が出来上がるんで帰り急ぐ人はささっと帰ってしまうことをお勧めします。

※ポーチ↓。生姜をすりおろす器具ではない。

f:id:AOG:20190426094458p:plain

 

 

で、ひっさびさにスマホを全く気にせずライブ見たんですけど、これいいなと思いましたね。最初から触れないとわかってるとスマホに気を散らされることなく、集中して観れる。次回のライブでも電源切っちゃおうかなと思います。

 

開演前にはガレージでパンクな曲がかかりまくってました。わかったのディープ・パープルのSpeed Kingくらいでしたが。

 

さて、19時開演のところを7-8分くらい押してメンバーが出てきましたんですけど、もう開演から凄まじかった。みんなジャック・ホワイトに会えなかった10年あまりのあれこれが一気に噴出したかのような盛り上がり。温度変化激しすぎて雲できるんじゃねえかと思いました。いや、本当熱気が目に見えてた。

 

一曲目はSalute Your Salution。たしかに勢いある曲ですけどここまで盛り上がると思わなかった。みんなピョンピョン飛び跳ね、腕を上げ、首を振り...と、完全に場を制圧。ジャックがソロを引き出すと、あの異様に音圧高い音色にやられ、歓声が上がる。早くも来てよかったなと思う。ちょれえ…

 

今回、新曲は5,6曲くらいやってたんですけど、掛け値無しに全部良かったです。

特にSunday DriverYouTubeですでに公開されていたこともあり、新曲といえどもう聴き慣れたもの。あのリフはなあ、そりゃ勝ちよ...ザクザクしたリフ、心地良い。

 

アコギに持ち替えて、Old Enough。アルバムではトラディショナルな雰囲気の曲でしたが、牧歌的な印象は薄れとにかく気分が高まる楽しい曲になってました。ジャックとブレンダンのコーラスがとてもはまってる。You look pretty in your fancy dress...♪

 

Level。最初のパン、ポン、パン、ポンのとこ、生で歌うんかいとニヤニヤした。

 

そういえば、新曲前に「うるさい曲と静かな曲続くけどオッケー?」みたいな(すいませんほとんど聞き取れなかった。誰か教えて)ことを話した後、「次はこんな感じ」っつってチョーキングを多分に含んだフレーズをジャックがエレキで弾く。続いてブレンダンが「見てて」と同じフレーズを弾こうとするんですけど、アコギだからチョーキングできず弾けない...という一幕があり笑いが起こる。このネタMCの鉄板なんだろうなぁ。

 

 

さてこのバンド、どの曲でも見てて飽きないんですよねぇ。次に何が飛び出してくるんだろうと、目が離せなくなる。ラカンターズの特徴のひとつとして、リズムパターンが面白いってのと、そこに重なるリフが最強ってのがあるんですけど、ライブだとCD音源より拡張されてパワーアップして、迫力も増し増しで楽しい。

 

ギターからそんな音色出るんだーみたいなフレーズがポンポン出てくるし、勢いが凄まじいのに実は細部まで凝ってるようでもある。

 

気づくと、あれ、自分こんなにラカンターズ好きだっけ?と不思議な気分になってました。アルバム買った当時はものすごい聴き込んでたわけでもなかったんですけど、謎だ。

 

あと普段そんな思わないんですけど、見てるとすげえギター弾きたくなってくる。テクニカルな見せつける類ではなくではなく、ひたすら楽しいギターミュージックだからか。

 

本編最後の曲はHands。ファーストアルバムの二曲目。間奏で入ってくるファルセットのフッフーゥフーゥ⤴︎ の部分をみんなで歌う。間奏のブリッジミュートのとこ、ワクワクするよねぇ。

 

さて一旦本編は締め。スタッフがチューニングを施し、準備が整うと、すっと1人出てきたのはベースのジャック・ローレンス。なんか図書館にいそうなおばちゃんっぽくてかわいいなぁと思ってたんですけど、他のメンバーが出てくるまで約1分間、ローレンス兄貴と観客が拍手し合うなぞのほっこりタイムがあってよくわからんがめっちゃ笑った。

 

他のメンバーもその後ステージに帰ってきます。

今回アンコールめちゃくちゃ長くて、本編終了はあれただの中締めだったんじゃねえの?というくらいの長さでした。実際40-50分くらいあったんじゃないかな。それアンコールって言うのか。

 

Broken Boy Soldier、Hey Gip、Top Yourself、Steady As She Go、Now That You're Gone、You Don't Understand Me、Blue Veins、Carolina Dramaみたいな流れだったと思います。あと新曲もあったかな?

 

 

まずBroken Boy Soldierラカンターズお得意のエスニックな香りがドスドス迫ってくる名曲なんですけど、カチャカチャ鳴るドラムとリズムチェンジするフレーズで嫌でも体を揺すられる。楽しい!

 

Hey Gypはドノヴァンのカバー。ドラムのリズムパターンが面白く、流れるような早口の歌詞ですんごいクールに仕上がってる。

 

Top Yourselfはスライドギターが気持ちいい曲。Top Yourself!と合唱する場面があったんですけど、これってそんなみんなで歌う感じの曲だっけ?と訝しみながらも普通に歌い揃ってて笑う。Top Oneselfって自殺するって意味なの本当ですか...知らんけど楽しい!

 

そんで満を持してSteady As She Goes。イントロのフレーズがツインギターになってて、うわっ!憎いアレンジー!フゥー!となる。この曲はほぼアンセムと化しているのでどこを切り取っても滾る。本当にただただシンプルな四つのコード鳴らしてるだけなんですけど、それで文字通り踊らされるわけで、これがロックだなと実感することしきり。最後には右側の客がSteady As She Goesを歌って、左側の客がAre you steady now?と返すように指示されると、我々観客大喜びで合唱しだす。楽しい!

 

 

正直、これで終わりかなー?と思ってたんで、Now That You're Goneが続いた時は驚きました。この曲、気怠げかフレーズと哀愁漂う雰囲気が同居するちょっと変わった曲なんですよね。

 

そんでそんで、個人的にこれは聴きたいと思ってて、でもここまでやらなかったら曲は無しかーと思ってたYou Don't Understand Meが始まって高まる高まる。鎮静剤くれ。みんなもおーっと歓声をあげてたんで、待ってたんでしょうねぇ。日本人絶対あの曲好きだよね。ちなみに今回、この曲と新曲の2曲、ジャックがピアノ弾いてた。

 

その後Blue Veinsで一気にブルージィな雰囲気に。あぁ、この手のギターもお得意よなーと哀愁に浸りつつ思う。どうでもいいけどBlue Veinsでステージライトがずっと緑色だったのは何故なんだろう。

 

 

最後は「ありがとう、東京!今回日本に来れたのは僕にとってすごい大きかったよ!」と言って始まったCarolina Drama。最後の歌詞を野々村竜太郎よろしく耳に手をやり観客に歌わせようとしますが流石に歌える人おらず。多分本人もわかってやってるっぽく、笑いながらマイクに戻りました。

 

 

なんかやっぱりジャック・ホワイトのことばっか書いてしまったんですけど、実はブレンダンのギターとボーカルも好きだったんでしっかり見てました。ボーカルスタイル含め、クラシックロックっぽさを一番体現してたのは彼だったかも。何よりバンド全体の一体感が凄まじいため、これほどの迫力が出るわけで。万感の思いで目に焼き付けました。スマホないからね。

 

 

そう言えばネタバレされないようにロキノンの初日レポ記事終わるまで読まなかったんですけど、どうも2日間のセトリかなり違ったみたいですねー?

ファンへの心遣いか、実験してみたのか、単に2日同じ曲やるのがつまらないからなのか知らないんですけど、そのどれであっても嬉しい。一公演ずつを大事にしていることがわかるから。でも1日目にしかやらなかったConsoler of the Lonely聴きたかった...

 

 

また今回嬉しかったのが、ジャックが普通に楽しそうにギター弾いて、気持ち良さそうに歌ってたこと。正直日本の観客とは相性良くないんじゃないかと思ってたんですけど、これまでの空白がなかったかのように良い雰囲気が流れてて安心しました。

 

 

そうそう、一番最後なんですけど、ジャック・ホワイトが帰りがけにSee you soon!って言ったんですよ。え、マジ?本当?soon?あんたのsoon10年くらいじゃないだろうな?と思いつつ、なんだか今日のライブの手応えを見てると本当にそのうちあるんじゃないかと思ってしまう、そんなステージなのでした。

 

 

Broken Boy Soldiers

Broken Boy Soldiers