『蜜蜂と遠雷』が漫画だった
蜜蜂と遠雷、直木賞と本屋大賞受賞の長編小説で音楽モノってことで読んだんですけど、上下巻で800ページ?くらいあったんですがさらっと読めました。
恩田陸先生の名前は知ってましたが読むのは初でした。文体は口語が如何にも口語っぽいところ以外癖もなく読みやすかったです。
物語は導入以外は基本的にずーっとひとつのコンクールを追っているもので、型破りな天才と、正統派の天才と、復帰した元天才と、自覚する凡人とが主人公で、それぞれのバックグラウンドがユニークでした。
あと、音楽を完璧に小説に落とし込むのってもう無理じゃないですか。どれだけ精緻で明晰で豊かな表現力で書いても伝わりきるわけないわけです。
なのでこう、表現の仕方が単調だったり、興奮が伝わりづらい描写だったりするといまいち読者も乗れない(ラノベとかのライブ描写によくある)わけですが、もうあらん限りのメタファーと殆どファンタジーな表現を駆使して、「とりあえずなんかすげえ」ことが何故か視覚的にわかるという、なんだか漫画みたいな感覚で読める小説でした。
ピアノコンテストの運営についても、まあどこまで事実かわかりませんが勉強になったし、素直に読んで良かったです。
あと自分はピアノは弾けないんですけど楽器が触りたくなってきます。登場人物に当てられて、アホほど楽器を練習してみたくなる。
そんな感じで、クラシック詳しくない人も楽しいので読むとよろしいと思います。