南極猿手帖

だいたい音楽の話(邦:洋=2:8くらい)をしている人です。ライブに月1~3回くらい行ってます。

【シャーロック】日本のドラマの「歌謡曲化」がキツいので見れないという小話

『シャーロック』が日本でリメイクされるようでして、しかも主演がおディーン様&なんかザイルグループのさわやかな人ということで世間が浮き足だっております。いや、言い過ぎました。Twitterがざわざわしております。とんでもない粉飾。

 

 

さて、シャーロック・ホームズについては短編を少し読んだことがある程度で、小学生時分は専らルパン派の人間だったため、「ルパンの娘で深キョンでも凝視してろ」と言われればそれまでなのですが、ドラマ『シャーロック』はそこそこ視聴した作品のためちょっと記事を書こうと思います。深キョンは見る

 

 

まず、日本版『シャーロック』は観るつもりはないので作品自体にあれこれ言うつもりはないんですが、そもそも日本のドラマの造り自体が自分に合ってないなと最近感じています。

 

日本のドラマは「歌謡曲化」がキツい。

 

「歌謡曲化」ってはさっき適当に考えた造語なんですけど、要するに「歌謡曲のようなわかりやすい演出と展開」がほとんどの日本のドラマに通底するものだということです。もっと素直に言うと、過剰なお涙頂戴演出がキツい。素直に言うならなんで造語出したん?

 

 

こういう風に言うと、ただシニカルな作品を礼賛するだけっぽい感じですが、実はお涙頂戴的な演出自体は別に嫌いではないのです。ブラピの「セブン」みたいな胸糞映画より「ショーシャンクの空」みたいなハッピーエンディングの作品の方が好きだし、ドラマや映画に関しては割とわかりやすいものを好んで観てる気がします。

 

 

ただ、日本の多くのドラマが、

・「感動しそうな展開」であることが透けて見え、

・「優しさや人情」といった寓話的要素の押し出しが暑苦しく、

・「感情を誘導したいことが明らかな音楽」を載せる

という過剰演出っぷりを特徴としているため(例外はありますが)、シンプルに自分の肌に合わないのです。なぜだか観てて恥ずかしくなってくる。

 

 

アメリカなんかのドラマを見て思うのが、「淡々と、すごい情報量で進んでいく」ということです。今好きで見てる『メンタリスト』も、冒頭30秒くらいで被害者が死んで、2分くらいで被害者の情報を集めて、そのあと5分おきくらいに異なる容疑者に当たっていって…とものすごいスピードで話が展開していきます。そんで終わる5分前くらいにあっさり犯人が射殺されたりする。個人の事情とか胸の内とかが介在する余地が少ない。

 

 

 

アメリカのドラマこそ至上!と言いたいわけではなく、このある種「ドライ」な進み方が自分には合っているようです。

 

例えばこれが日本のドラマの場合、犯人にはこういう深い事情があって、主人公はそれに対してこういう苦悩を感じて…みたいなところに長い尺を割きます。事件の解決するシーンはここぞとばかり盛り上げて、犯人が自白するシーンではいかにも悲しい音楽とともに犯人のすすり泣く音が載る。

 

 

多分「共感性羞恥」の類だと思いますが、日本のドラマを見てると「居心地が悪い」と感じる場面が多くあります。演出の過剰さに対して反応してしまっているんでしょうかね。

 

 

さて、やっと『シャーロック』の話。

イギリスのBBCでやってた『シャーロック』は、BL的な見られ方や主演のカンバーバッチの度を超したハンサムさは勿論ですが、単純に話が良くできてるのと、何よりシャーロックの破たんしたキャラの立ち方が人気の理由だったと思います。少なくとも自分はそう思っています。

 

さっき例に挙げた『メンタリスト』も、主人公のジェーンがかなりの社会不適合っぷりで、事件の被害者&加害者問わずすんごい失礼な言葉を浴びせたり、ルールガン無視したり、これはアウトというような言動が多くて、けれど面白い。(こちらは共感能力を極限まで鍛えあげた上でわざとやってるのでシャーロックとは性質が異なりますが)

 

てっとり早く表現すると、これらのキャラは「限りなくサイコパス的」な言動によって強烈な個性を発揮しているわけです。

しかしサイコなだけでは好きにはなりません。「優しさ」や「信念」とか、そういう「善人」的な要素を、「ごくたまーーーーーーーーーーーーに」見せるから、好きになるわけです。ここが重要。全体で言うと1%~5%くらいでいいのです、「お涙頂戴要素」は。

 

 

で、今回、日本でリメイクされる『シャーロック』も例にもれず上で述べた「歌謡曲化」されるんだろうなあと思うと、放送されること自体に文句は言いませんがあまり視界には入れたくないなあと言うのが正直なところです。

 

予想ですが、シャーロックとワトソンの友情とか、「本当は優しいシャーロック」とか、エンディングで流れるいい感じの感動ソングとか、そういう要素がちりばめられている可能性が高いためです。あと、そもそもあれはロンドンでやるからいいのでは

 

 

そんな感じで、おディーン様は好きなので応援はしてますが、評判がよかろうが悪かろうが見ないだろうなあというお話でした。めちゃくちゃ良い作品だったらすまん

 

 

そういえば一応触れておくと、去年リメイクしてた「SUITS」なんかは結構「歌謡曲化」されちゃってる好例なんじゃないかと。

 

 

最後に一つ。個人的に日本史上最高のドラマだと思っている『時効警察』の新シリーズ10月から始まります。テレビの前に坐して齧りつくように視聴し、液晶画面に穴を開けましょう。お涙も引っ込んで乾くこと請け合い。

時効警察DVD-BOX

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【追記】

リメイクじゃなかったらしいですね申し訳な…い、いや、リメイクじゃなくてあのタイトルとロゴはどうなん?

https://www.j-cast.com/2019/07/24363431.html