南極猿手帖

だいたい音楽の話(邦:洋=2:8くらい)をしている人です。ライブに月1~3回くらい行ってます。

非メタラ―によるDownload Japan 2019の遅いレポ・感想

生まれてからこの方メタラ―であるという自覚を得たことがなく、したがって自分はメタラ―ではないと思うのですが、人は何をもってメタラ―を自認するのかという定義を….........

 

序文に飽きたので非メタラ―がダウンロード・フェスに行ってきたレポと感想になります。このフェスって3月末に開催されたはずなんですけど半年何があったんですかね?タイムリープ

 

さて、今回日本初開催となったダウンロード・フェスティバル。事前にオジーのキャンセルなどのニュースもあり、色々と心配な点が多かったのですが、まず言っておきますと、

 

めっちゃくちゃ楽しかったです。最高。手のひら↑↓!!!

運営様お疲れ様でした。

 

バンドの演奏は勿論のこと、なんというかメタルコミュニティの文化にようやく直に触れることができ、新鮮な体験ができました。

 

 

◆移動~入場

当日3/22(木)の朝。

どこに出しても恥ずかしくない地方民中の地方民のため新幹線で東京へ。そのまま京葉線を巧みに乗りこなし海浜幕張駅へ向かいます。これからメルヘンな世界観を堪能せんとするディズニー民と、黒い服で全身固めたメタラー諸兄が同乗する、たいへんに密度の高い車内。

 

休日に早起きするのが嫌で、また前泊する気力もなかったため到着はお昼ごろ。つまり最初の数組は終わっている段階でのスタートとなりました。すまんな。

 

到着してチケット確認を済ませると、リストバンドドリンクチケットを渡されます。リストバンドさえあれば自由に再入場が可能とのこと。(余談ですがツイッターで「リストバンド売ってくれ」と交渉しかけてる人を見かけました。駄目だろ)

 

入場。ほえーと思いつつあたりを睥睨します。何しろ周囲はメタラーばかりなのです。なめられてはいけません。誰彼かまわずにらみつけ、順調にぼうぎょりょくを下げていきます。

 

で。やっぱりというかなんというか、独特な文化がそこにありました。

就活の合同説明会のような黒一色。ドレスコードあったの?というくらい、マジで9割を超える参加者が黒い服を着用しておりました。女性もそこそこ見かけたのが少し意外です。

 

バンドT着用者も非常に多く、スレイヤーやジューダスのTシャツは勿論のこと、アイアン・メイデンニルヴァーナのTシャツも散見されます。今日関係ねえだろ。あ、あとラウパなど他のメタル系フェスのTシャツ着てる人も多数。

 

会場の外に十数件ほど並ぶ出店を眺めながら、ふと漏れ聴こえてくる音の方を向くとMAN WITH THE MISSIONが演奏中。オオカミ初めて見たなーと思いつつ、会場2Fのクロークを目指します。

クロークは出し入れ自由、料金は1000円なり。昼ごろだったからか、クロークは全然並ばず。でかいゴミ袋みたいなのを貰って、荷物を預けます。

 

再びオオカミを横目にほえーっと思いつつ、昼食を頂くためいったん会場を後にします。今のところ、こいつは一体何をしにきたんでしょうかという感じであります。

 

 

◆ヘイルストーム

バーガーキングで食事を済ませたあと、会場に戻ると演奏中だったのはヘイルストーム。正直なところあんまり予習していたかったので途中からなんとなーくで見始めます。が、ぐっと注意を引かれてしまう。

 

事前に聞いていたとおり、メタルというよりはハードロックな正統派っぷりで、とても聴きやすい…。のはいいんですけど、

 

ボーカルの声がやばい。

とにかく声量。これ、何デシベルシロナガスクジラ?みたいな咆哮。

声量・歌唱力どれをとってもその日一番だったんじゃないでしょうか。 

 

曲を知らないのに、声にひたすら圧倒されて、比喩ではなく鳥肌が立ちました。

正直、感動というよりもっと生物的な部分で圧倒されたという方が正しい気がします。でかい獣を前に毛が逆立つような感覚とでもいうか。勿論ただでかいだけではなく歌唱力もずば抜けてるので、ビリビリと圧倒されながらも心地良く聴けるという。これは人気出るわなあ、と。

 

パフォーマンスも面白い。例えばドラムソロってのはこの手のライブでよくあるんですけど、「良いのを持ってるんだ」と言って取り出したのはお箸。当然コツコツくらいの音しかならないのですが、それで高速のドラミングをするので会場も笑いに包まれ、和やかムードに。一転、今度は特大のスティックを取り出してボスボスたたき出して、また笑いを誘う。あー、パフォーマーだなーと一気に好感度上がりました。

 

とかなんとか言ってたら来日公演決まりましたね。興味ある方は是非行かれると良いと思います。

https://www.creativeman.co.jp/event/halestorm19/

 


Halestorm - I Miss The Misery [Official Video]

 

◆アーチ・エネミー

デスボを生で聴いてみたいとアーチ・エネミーを鑑賞。マイケル・アモット率いる演奏はとてもソリッドで、Nemesisの超絶リフなどがソリッドで、ソリッドでした。

ソリッドってなんだろう。

 

アリッサ嬢のボーカルはなんだかすげえものを見ているなあという印象。良い意味でこう、動物園のパンダを見ているような気分でした。良い意味で。


ARCH ENEMY - Nemesis (OFFICIAL VIDEO)

 

SUM41

そんなに思い入れのあるバンドじゃなかった…と思ってたんですが、そういえば中学時代にめちゃくちゃ聴いてたのを思い出しました。特に2nd、3rdの曲は思い出深くて、イントロのリフを聴いた瞬間血が沸き立つような感覚を思い出しました。

古い曲は勿論新曲もステージセットの演出と相まってなかなか良く、めちゃくちゃ盛り上がってました。やっぱりこのバンドは日本と相性良い気がします。かなりメロディ重視なので。

モッシュが起こったときは「Good old mosh-pit!」とデリックも嬉しそうにしてました。

途中でサバスのParanoidのリフを弾く場面もあり、メタルヘッドへの気遣いも忘れず。

このバンドはマイナー調のメロコアっぽい曲でも、メジャー調のポップパンクっぽい曲でも、盛り上がりどころをわかりやすく作ってくれるので、この日一番乗りやすかったのはこのバンドだったかもしれません。

選曲もベストアルバムって感じで、個人的には"We're All To Blame"、"Still Waiting"、"Underclass Hero"、"Fat Lip"などなどこれさえ聞ければみたいなラインナップがすべて揃っていたので大変満足でした。

 

久々にポップパンクの強さをかみしめ、ふえぇ…音楽脳が中二に戻るよぉ…とひとりごちておりました。


Sum 41 - We're All To Blame

 

 

アンスラックス

古き良きスラッシュメタル。良い意味で、良い意味で四天王で一番馬鹿っぽくて良い。盛り上げ方も、ブリッジミュートのザクザクっぷりも、ボーカルスタイルも、「これぞスラッシュメタル」という感じのステージ。

"Indians", "Caught In A Mosh", "Mad House"などなど、ほとんどベストアルバムみたいな選曲で、ただただ楽しかった。"Do you like thrash metal!?"というアホみたいなMCも好き。

 


Anthrax - Madhouse (Official Video)

 

 

 

 ◆ゴースト

個人的ハイライトでした。正直に言うと、ゴーストを予習し始めたの、フェスの1週間前くらいからだったんですよ。アルバムもprime musicで聴けるOpus~は何週かしたのみで、あとはYouTubeに上がってたMVを繰り返し見て、とにかく直前にゴリゴリ聴いていったんですが。

それがライブ当日には、まるで遥か昔から聴いていたかのような耳への馴染みっぷりで、自分でも驚くばかり。

このバンド、見た目やコンセプトは完全にキワモノなんですけど(聖飢魔Ⅱみてえだと思いました)、やってる音楽は正統も正統、というかなんなら結構古臭い曲もあったりします。

特に最新作は80s感満載の曲が多く、キャッチ―なメロディが「ダサい」すれすれのところでかっこよく仕上がっています。その「もう少しでダサい」という音楽性も意図的にやってることがわかるので、なんというか「オーディエンスとの共犯意識」みたいなものが芽生えている気がしてきます。

一方、ダウンロードフェスに呼ばれるだけあってへヴィな曲は音圧高めのダウンチューニングで演奏されるので、なんだかんだメタルヘッズも大好きという、謎めいたバンドでした。

実はたった3年前の曲である"Square Hammer"は、もはやアンセムのようになっていて、イントロから比喩ではなく鳥肌が立った。

 

途中、インスト曲でコピア枢機卿がサックス(?)を吹きながら登場するシーンがあって、かっこいいやらシュールやらでなんだか楽いです。

コピア枢機卿のボーカルも華があり、バンド隊は非常に堅実に仕事してるので、ライブすっごい良いバンドですよ。必見。

 


Ghost - Square Hammer

 

 

◆スレイヤー

ハイライトがゴースト、ならスレイヤーは?

なんというか、別枠でした。

 

メタルのライブと言うより、

終戦を見届けた」みたいな気分にさせられました。何言ってんのこいつ

 

始まる前から異様な雰囲気が漂っていました。高揚感もあり、緊張感もあり、そして最後であることへのさみしさもあり。万感の思いが幕張を満たしています。

メタラーというのは揃いも揃ってこじらせたオタクばかりです。スレイヤーという、少しもブレることなく邁進してきたレジェンドに対する思いは、もはや好きを通り越して畏敬みたいなところまで育っていても不思議ではありません。

 

セトリはベストアルバムのような選曲で、みんな狂う狂う。目の前でモッシュピットが起こり身の危険を感じます。初めて聞くスレイヤーの音の洪水っぷりはすさまじかったですが、その一つひとつの音の粒は輪郭がしっかりしていて、スレイヤーにしか出せない音だなーと思いました。個人的にHell Awaitsと目の前のモッシュの地獄っぷりがシンクロして非常にナイスでした。あとなんかモッシュの中にダッチワイフ的なのがいた気がするんですけどなんだったんでしょうか。

 

とにかく演奏中は頭がからっぽで、かつ身を守ることに必死だったため気づいたら終わっていた感じでしたが、演奏が終わった後の「終戦」のような雰囲気がとても印象的でした。

 

最後、トム・アラヤはしばらく黙ったまま観客を睥睨していました。すると最後のMCを、なんと日本語で読み上げます。たどたどしく「私たちのたちの最後のショウです。とても悲しい。いつかまたね」と。

それだけ言い残し、戦士たちはステージを去ったのでした…


Slayer - Hell Awaits (Live Unholy Alliance)

 

 

ジューダス・プリースト

電車の時間の関係で、ペインキラーを背に帰った。

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いやー、まさかレポが半年も遅くなるとは思ってなかったのでびっくりしています。

先延ばしは良くないですね。では