メタルファンが妄想するだけで終わってたカバー曲が日本で誕生してた。【QUADRATUM / From Unlucky Mopheus】
これ。
この動画がすごい。
もう30回くらい見たかもしれない。
【Cover】Yngwie Malmsteen - Far Beyond The Sun (Violin Cover)
イングヴェイ・マルムスティーンといえば、速弾きの代名詞ともいえるギタリストで、
彼より速いギタリストがごまんと出てきた今でもポール・ギルバートなどと並んでその地位が揺らぐことはありません。
強烈なキャラクターとダサすぎるジャケットなども彼がメタルファンの記憶に居座り続ける理由の一つでしょうが、シンプルに曲やフレーズの良さが彼の人気の際たる理由だと思います。
なかでもソロとしてはデビュー作の『ライジング・フォース』収録の"Far Beyond The Sun"は、とにかく曲としての完成度が高く、代表曲のひとつとなっています。日本人が大好き陰気なハーモニックマイナースケールがふんだんに盛り込まれている熱い曲。
で、イングヴェイは直接の影響として、伝説のヴァイオリニスト、パガニーニを上げておりまして、彼のフレージングがクラシックからの引用も多いことから、「ネオクラシカルメタル」なんていうジャンルが確立された...みたいな話はウィキペディアにでも書いてあるので詳しくはそちらをご覧いただければいいんですが。
ここで言いたいのは、「ヴァイオリンの影響下で作られたギターのインストの名曲だったら、ヴァイオリンのカバーがあったら聴いてみたいなあ」と思うのはまあまあ当然の欲求だったということでして。
御多分に漏れず自分も、ふと思い出しては「Far Beyond The Sun Violin Cover」とかでYouTubeで検索かけるってのを数年やってきたわけですが、いまいち引っかかりませんでした。
シンプルに、難しすぎるのかもしれない。
ヴァイオリンは触ったことすらないのでなんとも言えないのですが、同じくフレットが無い楽器であるコントラバスをやっている自分からすると、音程を取るのが難しい楽器での速弾きと言うのは想像を絶するところがあります。やっぱりプロでも難しいんじゃないでしょうか。(YouTubeには「ヴァイオリンの方が弦移動が少ない分かんたんだよ」といったコメントもありましたが本当か…?)
加えて、クラシックの畑の人がポピュラーミュージックを本気でやるというのは、色々とジャンルフリーのヴァイオリニストが出てきた(デイヴィッド・ギャレットとか)現在でも、ものすごく盛んなわけではないので、しょうがないかなあと諦めていたところ。
【Cover】Yngwie Malmsteen - Far Beyond The Sun (Violin Cover)
ほとんどメタルヘッズの「ぼくのかんがえたさいきょうのカバー曲」、その妄想がそのまま叶ったようなカバーでした。
QUADRATUM From Unlucky Mopheus(Unlucky Mopheusというバンドの楽器隊だけのプロジェクト)。
カバー曲にはつきものの、「原曲を聴きすぎたために感じる違和感」みたいなものがひとつもなく、当たり前かもしれませんが、びっくりするほどヴァイオリンの音色にハマる。インギ―の頭の中ではこう鳴っていたのかもしれないと思うようなサウンド。
で、恥ずかしながらこのバンド(Unlucky Mopheus)自体知らなかったんですが、他の楽器隊もすごくて、原曲ではオルガンで弾かれていたソロが逆にギターアレンジされており、ヴァイオリンとギターの掛け合いになっていて、これも注目の点でした。
ドラム・ベースのリズム隊もしっかりグルーヴ出しつつ、重さもあり、「これ原曲?」となる違和感のなさ。
BABYMETALを筆頭に実はメタルが一番アツい国って日本なのでは?と最近思っているのですがまたこう、そう思わせる要因が増えたなーと。
今の10代の子とかもめっちゃ聴いて、暑苦しいロックに身を焦がしていただきたいなあとか思いました。
ちなみに自分はFar Beyond The Sun、欠片も弾けません。Far Beyond My Talent...
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