【Black Rebel Motorcycle Club】BRMCを自分なりにまとめてみた
ブラック・レーベル・モーターサイクル・クラブ(めんどくさいので以下BRMC)が4/30、5/1と2013年ぶりの来日公演を行います。それに際して彼らのサウンドとかアルバムとか曲とかの話です。
ブラック・レーベル・モーターサイクル・クラブと、そのサウンド
このBRMCという人達、自分にとっては変な距離感を保ってきたバンドでして、
「アルバムは聴きこんでこなかったけど、スタンスが死ぬほど硬派だから好き」という意味わからん位置づけだったのです。
一見してキラキラ要素の無いガレージ・ロックであることはわかるんですけど、アルバム全体で聴いてみると意外なほどに曲が分かりづらい。でもその姿勢をデビュー時から全く変えず、ぶれず、それでいてクオリティを下げない、そんな姿勢が他のどのバンドより好感持てる。
硬派で、ハードボイルドで、地味。バンド名が検索しづらい。
そんなBRMC、この度ライブに行くことになったんで改めてアルバムを聴いてみて、自分なりに思った特徴なんかをまとめてみました。あと各アルバムの雑感とおすすめ曲も書いたんでよしなにー。
◆わかりやすいようでわかりにくい
Whatever Happened To My Rockn' Rollみたいなキラー・チューンはYou Sufferくらいの早さで好きになれるんですけど、アルバム全体で聴くとどうも一筋縄ではいかない。
ガレージ、パンク、フォーク系の影響は聴けばわかるんですけど、実は大きな要素をなしているのがシューゲイザーとサイケデリック系の影響だと思われ。ガレージロックバンドにしては妙にスケールのでかい、空間的な音使いをするなぁというのと、あとポップに仕上げすぎないところ、このへんは意図的にやってると思います。あと多分ポストパンクが好き。
◆アコースティックも大きな要素
ビリビリした音圧高いサウンドが特徴でありながら、一方でデビュー時からアコギも大きな要素。実はフォーク方面の影響も強いと思われます。3rdアルバムHowlに顕著。
◆ベースの存在感が強い
適当に音源に合わせてギターとかベース弾いてみたんですけど、パンク系にありがちなパワーコードばかりで構成されてるわけじゃなくて、めちゃめちゃ骨太なベースサウンドが土台になってることがわかる。
さて以下、
各アルバムの雑感とおすすめ曲。
■B.R.M.C(1st)
- アーティスト: ブラック・レベル・モーターサイクル・クラブ
- 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
- 発売日: 2002/03/16
- メディア: CD
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1stアルバム。冒頭の"Love Burns"から3曲目の"Whatever Happened To My Rockn' Roll"までキラー・チューンが続く。骨太ロックにサイケな音作りが混じった名盤。知らない人はとりあえずこのアルバムから聴くといいです。2000年代初期という時代柄、ガレージロックリバイバルのバンドっぽく思われてた節があるけど、聴き直してみるとこの頃から相当捻くれている。
日本盤のタイトル、「ビートルズがやってくる!ヤァ!ヤァ!ヤァ!」みたいになっちゃってんじゃねぇかよ。
❖曲
"Whatever Happened To My Rockn' Roll (Punk Song)":ちょっと気が狂ったのかな?みたいな歪ませまくったベースラインに始まり、ものすごい音圧で駆け抜ける疾走感ある曲。曲名の通りパンクなんだけどヘヴィでもあるのでちょっとモーターヘッドみたいでもある。BRMCのアンセム。
Black Rebel Motorcycle Club - What Ever Happened To My Rock And Roll (Punk Song)
"Love Burns":1stの冒頭を飾る曲。イントロのアコギにドスドス入ってくるドラム、キャッチーなコーラスで即効いっぱいちゅき♡になること必至。
Black Rebel Motorcycle Club - Love Burns
"Red Eyes And Tears":初めて聞いた時、このバンドを気に入る決定打になった曲。サイケでブラックなテイストが捻くれ少年の心にぶっ刺さった。
Black Rebel Motorcycle Club - Red Eyes and Tears
■Take Them On, On Your Own(2nd)
ノイズバリバリの音圧高いロックな佳曲を収録した2nd。ジザメリとか思い出すレベル。歪んだベースの存在感が最も大きいアルバムでもあります。後半の曲がかなり覚えにくいが、ヒリヒリした感触が好きな人、ローファイ好きにはかなり刺さると思われ。
この時期特有のCCCDだったりする点だけがクソ。
❖曲
"Six Barrel Shotgun":BRMC特有のビリビリしたロックサウンドが存分に味わえる疾走感満載の佳曲。
Black Rebel Motorcycle Club - Six Barrel Shotgun (Extended Version)
We're All In Love:こちらもストレートな骨太ロック。途中のC→G→D→Aのとことかベース弾くと滅茶苦茶楽しい。
Black Rebel Motorcycle Club - We're All in Love
Suddenly:イギリスのサイケ系みたいな音作りに似てる気がする。この曲は歪んでないけどベースの心地がとても良い。
Black Rebel Motorcycle Club Suddenly
■Howl(3rd)
異色のアルバム。というのも、トラディショナルな香りすらするアコースティックアルバムなのです。派手さは皆無で、60年代のアルバムでも不思議ではない作り。ハーモニカやオルガンの音色がまたノスタルジックな雰囲気を添えています。
地味ですがシンプルなためか楽曲自体の良さは頭ひとつ抜けていて、個人的には最高傑作といっても過言ではないかも。
❖曲
"Ain't No Easy Way":無骨なアコギサウンドが60年代のフォークシーンにあっても不思議じゃない。
Black Rebel Motorcycle Club - Ain't No Easy Way (Dirty Version)
"Promise":哀愁感じる、温かい楽曲。
"Weight of The World":クールなギターと特徴的なベースラインの絡みがいい。
Black Rebel Motorcycle Club - Weight of the World
■Baby 81(4th)
- アーティスト: ブラック・レベル・モーターサイクル・クラブ
- 出版社/メーカー: BMG JAPAN
- 発売日: 2007/05/23
- メディア: CD
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ストレートなロック志向のアルバム。名曲"Berlin"を収録。日本版のジャケットを見ればわかるように、エレキ主体で曲もわかりやすいものが多い。サイケ成分も控えめで、聴きやすいと思うので、1stの次に聴くといいかも。"American X"みたいな大作は最初たるかったけど、ライブ映像みたら好きになった。
❖曲
Berlin:ガレージでハードボイルドでクール。Suicide is easyというとんでもない歌詞が連発される。
Black Rebel Motorcycle Club - Berlin (Tess Angus Edit)
"Weapon of Choice":BRMCで一番わかりやすくかっこいいパンクな曲。
Black Rebel Motorcycle Club - Weapon Of Choice (Video - U.S Version)
"Not What You Wanted":さわやかでノスタルジックな印象のちょっと珍しい曲。ジョン・レノンのソロみたいな古き良きロックの香り。
It's Not What You Wanted - Black Rebel Motorcycle Club
■Beat The Devil's Tattoo(5th)
- アーティスト: Black Rebel Motorcycle Club
- 出版社/メーカー: Imports
- 発売日: 2010/03/16
- メディア: CD
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アコースティック成分とエレキ成分半々くらいのBRMCらしさをごった煮したような作品。ヘヴィネスでいうと一番かもしれない。呪術的とも言えるような怪しげな雰囲気、重い音作り、とにかくブラック。ミンティアで言うとドライハード。一番ドライハードなのは"River Styx"って曲かも。からい。
❖曲
"Beat The Devil's Tattoo":アコースティックの呪術的なリフで始まり、そこにラウドなギターが載る、アルバムを象徴するような曲。
Black Rebel Motorcycle Club Beat the Devil's Tattoo Lyrics
"Conscience Killer":善良な殺人者、みたいな意味でしょうか。性急なひねくれロックでとても良き。
Black Rebel Motorcycle Club - Conscience Killer (Live at Area 4 Festival 2010)
"Mama Taught Me Better":めちゃくちゃヘヴィなロックンロールナンバー。アアアアアー、アアアアー、アアア、が楽しい。
Black Rebel Motorcycle Club - Mama Taught Me Better
■Specter At The Feast(6th)
- アーティスト: ブラック・レベル・モーターサイクル・クラブ
- 出版社/メーカー: ユニバーサル インターナショナル
- 発売日: 2013/03/20
- メディア: CD
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彼らの作品で最も凝っていて、最もわかりにくい、最も地味なアルバム。初めて聴いたときは「テンポ遅え。なんか静かだし。ていうか地味。え、地味」と思った。ただし聴きこんでみると、一番世界観が深いアルバム。音作りが一気にスケールの大きい、壮大なものになった。全編通して聴くと一本の映画を観たような気分に。タイトルの意味はわからんけどかっこよすぎる。よくセールで叩き売りされているのが気に入らない。聴きこむと最高傑作に思えるかも。一見ロック成分低めですが"Rival"や"Teenage Disease"は噛みつくようなボーカルが心地良いロック曲です。Teenage Diseaseって中二病のこと…?
❖曲
"Let The Day Begin":バンドのスケールが大きくなったことを感じさせる曲。でかい会場でも映えそうな、開放感あるサウンド。
BLACK REBEL MOTORCYCLE CLUB - "Let the Day Begin" (Live In Paris)
"Returning":人類滅亡しかけて、残った数少ない人たちが抵抗勢力として戦って、多大な犠牲を出し、傷だらけになりながらも遂に勝利を手中にしてザイオンに帰るときに流れるときのような曲。こいつ何言ってんの。
BLACK REBEL MOTORCYCLE CLUB - "Returning" (Official Lyric Video)
Funny Games:ヘヴィなサウンドから一転爽快感あるコーラスが気持ちいい曲。
Black Rebel Motorcycle Club - Funny Games [Audio Stream]
■Wrong Creatures(7th)
現時点の最新作。曲の明暗(長・短)がはっきりしない曲が多い印象。前作の方向性を引き継ぎつつ、サウンド自体はロックに寄った。リヴァーヴがかかった音作りだからか、地下にある広い空間で鳴らしているような印象。このアルバムを聴いて初めて、彼らが相当シューゲイザー(特に"Ninth Configuration")に影響されていることを意識しました。全体的に大作志向ですが、ポストパンクっぽい雰囲気がめちゃくちゃ気に入りました。
❖曲
"DFF":怪しい雰囲気とドラムサウンドがPiLのFlowers Of Romanceっぽい。
"King of Bones":ディスコみたいなベースサウンドが心地良いサイケな曲。
Black Rebel Motorcycle Club - King Of Bones
"Echo":優しいベースリフがリードする壮大な曲。メロディはBRCM史上でも最もポップだが、後半は神々しさすら感じる。雰囲気的には前作に近いかも。
Black Rebel Motorcycle Club - Echo
"Little Thing Gone Wild":ハ、ハードボイルドーーー!!と叫んでしまう、タバコの匂いがしてくるような曲。
Black Rebel Motorcycle Club - Little Thing Gone Wild
記事書くのめっちゃ時間かかったけど聴きながら曲の感触を文字に起こすのめっちゃ楽しい。5月の頭にはライブの感想も書きます。