南極猿手帖

だいたい音楽の話(邦:洋=2:8くらい)をしている人です。ライブに月1~3回くらい行ってます。

【洋楽チケット売れない問題①】洋楽冬の時代の理由って

私は大体月に1~2回くらいライブに行っていて、そのほとんどが洋楽なんですが、毎回心配になることがあります。

 

ちゃんとチケット売れてるかなぁ・・・」と。

 

邦楽ファンからは想像もつかないような心配だと思います。

普通は「チケット取れるかなー」ですからね。

私もBUMP、The Birthday、UNISONなんかのチケットを探すときには「抽選当たってくれ」と願うのですが、こと洋楽バンドに限ってはその心配はほぼ必要ありません。

 

だいたい取れるんで。

 

例えば忘れもしない、今年1月にマンドゥ・ディアオが来日してくれました。

名古屋公演に行ったんですが、狭いライブハウスにも関わらずスカスカ。キャパの1/5も埋まってるか?というくらいで、「みんな前においでー!」と呼び掛けられる始末。(それでも全力で演奏した彼らに尊敬と感謝です。ライブ自体はめちゃくちゃ良かった)2003年のサマソニには入場規制がかかったほどの人気だった彼らもこの有様かと、かなりのショックでした。

 

さらに、9月にはザ・キラーズのライブが武道館でありました。キラーズといえば世界的にはドームだって軽く埋めてしまう大人気バンドなのですが、日本での人気ははっきり言って微妙。ドームどころか武道館ですら売れ行きが心配だったのですが…。

心配は見事的中でして、2階席だったはずがチケットの振替が当日に行われ、1階スタンドになりました。そして2階席に黒い幕がかかって多い隠されている・・・・。

 

2階席なんてなかった。

 

そんな感じで死ぬほどチケットが売れない状況でして、かつてのビッグ・イン・ジャパンみたいな現象はもう絶対起りえないというくらい洋楽冬の時代。

理由としては、

①「洋楽カッコイイ」という価値観が薄れつつある

②国内産のクオリティで十分すぎる

③チケット高い

④他人と共有しづらい

⑤ロックを聴く日本人とロック離れする海外

などいろいろ考えられます。

 

①「洋楽カッコイイ」という価値観が薄れつつある

「洋楽かっこいい」の時代はもう終わりました。

「洋楽聴いてる特別な自分」をカッコイイと思えるためには、ある程度の人口が必要なんですよ。本当に誰も知らないバンド聴いてても、かっこいいというよりは「変わった人」という印象になるだけなので。それなら邦楽のちょっとマイナーなところに行った方が通ぶれるし歌詞わかるしいいよねーみたいな感じです。

 

②国内産のクオリティで十分すぎる

そして最近感じるのが、日本のバンドのクオリティ上がってるよなぁということ。もちろん一概には言えないのですが、日本のバンドって4和音、分数コード、dim7などなど複雑なガンガン使うからコードをコピーするだけでも結構大変だったりします。(チバユウスケの曲を除く)

一方、海外のは結構トライアド(3和音)だけで曲が成り立っているバンドも多く、構造もそこまで複雑じゃなかったり。

複雑なコード使えばクオリティ高いってわけではないですが、もうすでに海外のコピーではない「日本の音楽」が確立しているために、わざわざ洋楽を追っかけなくてもよくなったのかなぁというのは言えるかと。

このへんは「なんでも歌謡曲化する日本」と「リズムや韻も重視する洋楽」(死ぬほど単純化しています)という違いが出てきてるのかなあという気もしますが、ミスチルスピッツバンプ~米津みたいな流れの中で「日本っぽい凝り性な音楽」が完全に確立されたと申せましょう。

 

③チケット高い

チケット代が高い。洋楽のバンドだと、6000円台でも安いくらいです。普通に8000~10000円くらいは取ってくるので、金かかります。(CDは邦楽のより安いのに不思議)リンゴ・スター12000円かぁ・・・きっついなぁ・・・

 

④他人と共有しづらい

来日しないと会えないし普段テレビには出ないし、このSNSの時代にわざわざ友達と共有しづらい音楽を聴くメリットって何?という話。かつては洋楽好きのコミュニティがそこそこ大きかったからそこで共有できていたのだと思いますが、洋楽リスナーも年齢層が上がり、ライブに通うのも厳しくなってきました。今の若い世代がより身近なところ(国内アーティスト)に向かっていくのは必定ですなー。

 

⑤ロックを聴く日本人とロック離れする海外

日本ってなんだかんだロックを聴く国民だと思うんですよ。というか、ロックが歌謡曲化してるため、自然と耳にするという方が正しいかもしれません。変な言い方ですが、「ロックっぽくない場面」で流れても違和感のないバンド多いですよね。back numberとか。若い世代は若い世代の人気バンドがいて、曲もバンバン売れてる。

対して、洋楽ビルボードチャート、ロックバンドなんて1つか2ついればいい方で、今はポップとHIP HOP、エレクトロの時代。ロックは多分もう古いんでしょうね、たまーにヒットも出るのですが基本的にシングルが売れることはないです。

ある意味ロックというジャンルがアングラ化しつつあって正しいという気もしなくもないですが・・・・。

 

 

そんな感じで洋楽が売れない理由を考えてみましたが、正直ベテランの中二病患者としては、売れなくなっていること自体は別にいいんですよ。

ただ、せっかく来日してくれたバンドの客入りが悪いと残念な気持ちになるし、下手するともう来日してくれなくなるかもしれません。私としては今後もいろんなバンドを見に行きたいし、来日してくれるバンドには日本で良い思いをしてほしい。

 

そのためには、日本が洋楽アーティストにとって「良い市場」であると認識してもらう必要があります。

・・・そんな感じで次はチケットをどう捌くか、考えてみたいと思います。