南極猿手帖

だいたい音楽の話(邦:洋=2:8くらい)をしている人です。ライブに月1~3回くらい行ってます。

【Noel Gallagher's High Flying Birds】ノエル・ギャラガー5/16名古屋レポ。ファッキン・オン。

ファッキン悲願だったノエル・ギャラガーの単独公演に行ってきました。愛知県芸術劇場フォーレターワードが似つかわしくない小綺麗な会場で、全席指定のためロック系コンサートとしてはどうだろう?と思っていましたが、音響は良いのであまり飛び跳ねたりするタイプではないノエルのライブ会場としては良かったかもしれません。

 

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さてライブの感想としては、「細けえことはどうでもいいんだ曲が良いなら」というところですね

「良い曲いっぱい聴けて嬉しかったです」みたいな自我も芽生えてないクソガキ並の語彙ですべて足りてしまう気がします。

 

もはや童謡みたいに染みついているオアシスソングは言うに及ばず、NGHFBの曲も含めてこれ以上にしっくりくるメロディーないだろみたいな旋律をなぞるため、全曲しっかり心地いい。そんな2時間弱のライブでありました。

 

 

予想通りFort Knoxで始まり、Holy Mountainへ。

サイケな音作りなのに歌えて楽しい、なんだか童謡のようでもある曲。

今までなかったサウンドメイキングが特徴的なKeep On Reaching、ベース音が心地よいBeautiful Worldと続くんですが、その間バックの映像もWho Build The Moon?仕様の凝った映像になっていて、アルバムの世界観が目と耳に訴えかけてきます。シングルになるような曲ではないにせよ、このKeep On ReachingとBeautiful Worldの2曲、個人的にWho Built The Moon?の特徴を最も凝縮している気がしてたので、セトリに入るのも納得でした。というのも、リズムセクションが主体となっていて、サウンドメイキングもサイケで色彩豊かなので、これまでの「のっぺりしてるけどメロディーが神なので文句なしに名曲」な曲群とはちょっと一線を画す作りだと思ったからです。正直なところ、オアシス~NGHFBと来て、音作りそのものが面白いと思ったのはこの2曲が初めてでした。

 

お次はまたWho Built The Moon?から、She Taught Me How To Fly。最新作では一番ポップで爽快感あって好きだったので嬉しい。

 

お次はYouTubeで公開されてた新曲Black Star DancingYouTubeで聴いたときはディスコを意識したような曲調がいまいちピンとこなかったんですが、ライブで聴いたら結構良かったです。ノエルさんこのまま実験的なダンスミュージックっぽい音作りに進んでいって某U2のように「POPというタイトルの割に毛ほどもポップさの無いアルバム」を作り始めないかと心配だったんですが、杞憂かもしれません。結局アレンジが凝っていっても根底にド級に優れたメロディーがあるので大抵のジャンルは無理なく取り込めるかもなあとかなんとか思いました。

 

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そして今回最初のオアシスソングはTalk Tonight。I wanna talk tonightのあとのギターのキラキラしたフレーズがそこはかとなく寂しさのあるメランコリックな曲でしっとりした気分に。なんか年取るほど好きになってく曲。

 

そしてイギリス版水戸黄門と揶揄されてた名曲The Importance of Being Idle。ノエルはアコギで、ゲムがエレキで支える。この曲のギターソロほんと好き。ノエルの書くギターソロってお手本みたいなギターソロだなーといつも思うんですけど、なぜかというと完全に曲の一部と化してるからなんですよねぇ。「あたしのギターを聴け!!」とシェリル・ノームばりに主張激しいギタリストのテクニック見せたいだけの手数多いソロとか、逆に曲の構成考えるのがめんどくさいからとりあえずギターソロいれとけみたいな惰性のソロとは違って、曲に必要な部分を過不足なく取り入れてるから美しいんだなーと感心します。逆にここまでギターの使い方がドライなギタリスト珍しいなと思ったり。

 

なんかこの辺で「Noel! True rock'n'roll star!!」みたいな声を上げる人がちらほらいたんですけど、「確かに」とか「知ってる」みたいに適当に答えるのが面白かった。

あと、ちょうどマンCが優勝したタイミングでの来日で、それについても叫ぶ観客がいたんですけど、「おお、サンキュー」みたいなノリで返したあと、隣のベーシストを指さして、「彼リバプールのファンなんだよ」って本気で笑ってた。

 

そういえば、「名古屋には何があるんだ?何も?東京にも何もない、ロンドンにも、ニューヨークにも何もない、で名古屋は?」みたいなことを特に考え無しにしゃべってた気がするんですけど、あれなんだったんだろう。テバサキ!コーチン!とか叫んでおけばよかったんでしょうか。急に鶏肉について叫び出す観客やばいだろ。

 

 

さて。ソロになってからは頻繁に演奏されてるらしいLittle By Little。他の名曲に埋もれてるけどサビのキャッチーさと情感はオアシスソングのなかでも最上位な曲。ゲムも自分の参加し始めたころの曲でやりやすかったんではないでしょうかね。

  

さて唯一以外だった選曲として、Who Built The Moon?のボートラだったDead In The Waterが聴けたのは嬉しいところ。正直に言うとボートラのくせにアルバム一番の名曲なのでは?と思ってたんですけどライブでやるってことは結構気に入ってたんすね兄貴。


Dead In The Water (Live at RTÉ 2FM Studios, Dublin) (Official Lyric Video)

 

 

そして大名曲Everybody's On The Run。ノエルにしてはストレートな応援ソングっぽいんですけど、ラストのストリングス入ってくるとこが泣ける。Hung in there alone, you gotta hold on, you gotta be strong enough for love.オアシス解散後の曲とあってくるものがある。

 

Lock All The Doors。この日一番ロックらしい曲。この曲もギターソロが光る。

 

If I Had A Gunは発売前にDon't Look Back In Angerレベルの名曲と噂されてた曲。優しくて切ない音色に極上のメロディーセンス。単純なコード進行。Let me flying to the moon~からの畳み掛けるような展開に感極まるーーー!!

 

 

「ハッピーバースデーノエル!」の声に対し「ありがとう。まだ2週間くらいあるけどね。プレゼントはある?」と答える。それでタオルを掲げる観客に対して「それ俺のグッズだろ」とか「プレゼントもカードもなし?何も無いなら二度と名古屋には来ねーぞ!」と言い放ってめっちゃ笑った。

 

 

The Masterplan。最強のB面ソング。 ストリングスが特徴的で、暗い曲入りから迫力のあるコーラスまで、奮い立たせるような曲展開。元々ストリングスがふんだんに用いられているためか、NGHFBの色にも合ってる気がする。

 

そして一気に歓声が上がったWonderwall。当然のごとく合唱になるわけですが、去年見たリアムの公演でも演奏されてた曲だけに声質の違いににやける。ところでこのとき背景に映ってた赤い山の映像、レディオヘッドのKID Aっぽくなかったですか?絶対他に思ってた人いると思う。

 

本編最後は意外にもStop Crying Your Heart Out。オアシスの名曲の中でも結構過小評価されてる気がする。暗い暗いAメロから急浮上してからのコーラスの明るさ。めちゃめちゃ美しい曲。昔オアシスを知らない父がこの曲良いって言ってたなあと思い出したり。

 

さて形式的にアンコールを挟みさっさと出てきてからはAKA...What A Life!この曲こそ、ノエルがソロに転向した意義というか、NGHFBにしかない特徴が詰まった曲だと思ってる。なんというか、ディスト―ションかかったギターをじゃかじゃか鳴らすんんでしゃなく、ピアノ主体の洗練された音作りが新しかったんですけど、ライブで聴くとクールであり熱い曲に。WHAT A LIFE!(なんて人生だ!)で規模の大きい小峠を思い浮かべた。すぐに追い払った。

 

続いてHalf The World Away。かわいらしい曲調で、Talk Tonightと並んで歳取るほど好きになってくる曲。好き。

 

 

そんでやっぱりアンコールで入れてきたDon't Look Back In Angerアコースティックギターでの軽いアレンジでした。コーラス2回は観客に歌わせ、ラスサビはノエルと一緒に歌う。もうこれ国歌でいいと思う。 

 

Don't Look~で終わりかと思ったら最後敬礼してAll You Need Is Love。どっちかというとリアムの方が声質はジョン・レノンに近いんですけど、不思議とやわらかくて伸びのある歌声がマッチしてました。ほんわか楽しい終幕。

 

 会場を出ると、ハッピーバースデー企画の寄せ書き旗が。日本語ちらほらあるけど多分読めない。

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全体として、ノエル自身が言ってましたけど「プロフェッショナルなステージ」という感じでした。荒っぽさはなく、洗練されて、危なげもなく、ひたすらに名曲が演奏される、という。ある意味ロックっぽさは薄く、本人の声やギターの演奏はもちろんコーラスやバックバンドもかちっとしてるのでリラックスして曲を楽しめたのでした。というか何気に50越えて全然声変わってないように聞こえるの、すげえなぁ…。

 

 

あとハンサムなゲム・アーチャーが白髪になってた。賭けてもいい、絶対ポール・ウェラーを意識してる。