昔のロッキンオンを読んだら面白かった話
ちょっときっかけがあって、90年代のロッキンオンを読む機会があったんですけど中々おもしろかったです。
95年とかその辺の号だったと思うんですけど、例えばベックが鳴り物入りの大型新人として取り上げられていたり、ディスクレビューでブラーのパークライフが出てきたりと「きゅ、きゅうじゅうねんだい~~~~~!!!」と快哉を叫びたくなるような90年代っぷりでありました。
巻頭で「セックスと映画となんとか」みたいなちょっと攻めたコンセプトで特集が組まれていたりと、今よりも自由度の高かった時代を思ってほくそ笑むこと必至。
さらに面白かったのが、ミュージシャンのインタビュー部分を含め全体的に文体が良い意味でイキってるというか、「我々、カルチャーの最先端担ってますんでイェ」みたいな矜持が文章から読み取れるところ。「~じゃない?」みたいな言葉遣い、すごい目につくーーーー!(IKKO)
音楽。映画。雑誌。サブカルチャー。
90年代。音楽産業が元気で、雑誌も売れ、サブカルチャーがマスに進出し、インターネット普及前のためか明確にシーンのようなものが存在し、それでいて雑然とした雰囲気の時代。大きな物語が解体されながらも、まだどこか幻想に縋ることができた時代。あゝ、90年代…雑誌の切り抜きを下敷きに入れたりたまごっちを放置してにょろっちに堕したりしたいよぉ…。
というのはまあ前置きで、一番面白かったのが、「募集」のコーナー。
読者の「これこれこういう人を探してます。連絡ください」みたいなことを書いた記事が掲載されるコーナーで、例えばバンドメンバー募集でもいいし、同じ音楽趣味の人と交流したいってのもあるし、ストレートに遊ぶ女が欲しいみたいなのも載ってるんですけど、全部「実名+本物の住所」がセット。
いまでこそSNSがあるので同好の士なんてのは簡単に見つかるわけですけど、ネットすら無かった時代、自分の行動範囲より外で知り合いを作ろうと思ったらこうなるのは当たり前なんでしょうけど、すげえなあと感心しながら見てました。
何がすごいって「社会性ってのはそんなに大事かネ。ロックで繋がった気楽なフレンド、探してます(25歳、鈴木隆)」みたいな文章がなんの突っ込みもなく載ってるところ。全然関係無いのになんか顔が熱くなってきますね(共感性羞恥)。あの時代に20代以下だったら絶対やってた自信ある。
もし自分があの時代に投稿してて、今それを読み返したらと想像すると…現存する雑誌をひとつ残らず燃やしにいく旅に出るまである。
載ってる文章のほとんどがTwitterで見かけるちょっとあれな感じのおっさんの文体と酷似してる点もポイント高い。「周りに洋楽聴いてる友達がいなくて、トホホ…。チョー語り合いたい。連絡待ってるヨ」みたいな。「そうか、ここにいたのか、お前ら…」みたいな謎の感動に心打たれました。みんな昔は若くて、恥ずかしかった。
さて翻って恐ろしいと思うのが、90年代の雑誌と違ってネット上の文章は永遠に残る上に簡単にアクセスできるところ。例えばTwitterって遡れば2009年くらいの呟きも見れちゃったりするんですけど、それがしっかり残ってていつでも閲覧できてしまうわけです。実名や住所は載ってないものの、今自分が打ってる痛い文章を将来誰かに掘り起こされる可能性は普通にあるわけで、そう思うと他愛ない発言でも丁寧にしていかねばと自戒した次第です。現場からは以上です。
サイレントベースYAMAHA SLB200が届く。そしてシャトルランの音を流す。
人気ライトノベル『髭を剃る。そして女子高生を拾う。』を見事に模倣したタイトルを創作できたので、もうこの記事でやりたいことは大方やってしまったのですが、せっかく高い楽器が届いたのでその感動と感動に反する葛藤を言葉にしてみようと思います。
サイレントベースの名器としてそこそこに名の知れているYAMAHA SLB200が届きました。その名器っぷりは一部界隈でストラディヴァリウスに似ても似つかないと囁かれるほど。は?
前々からウッドベースに興味があったものの、金銭的な問題と物理的な問題(スペースがない)、生音は騒音になりうるのできついという点からサイレントベースを購入した次第ですが、果たして届いてみるとやはりでかい。
刮目せよ。
比較対象がないとわかりづらいと思いますが、メルカリに出品する際に使えそうなくらい見事な写真ということはお分かりいただけるかと思います。
まあ、スリムとは言っても高さは多分ウッドベースと変わらないんじゃないかと思います。そうじゃないと困る。
で、肝心の音なんですけど、これはもう少し鳴らしただけで大満足でした。いや、ほんと素人の耳にはウッドベースと遜色ないんじゃない?っていうくらい質感のあるサウンドで、電池入れてアンプにもつないでみたんですけどウッドベース特有の丸い音がかなりの精度で再現されている気がいたします。
しばらくはブンブン適当にならしながらニヤニヤしているだけだったんですけど、やはり楽器はなんらかの旋律をならしてこそのもの。何かを試し弾きしようとします。
…………ブウウ――――――ンンン― ―――――ンンンン………………。
…………ブウウ――――――ンンン― ―――――ンンンン………………。
…………ブウウ――――――ンンン― ―――――ンンンン………………。
(夢野久作https://www.aozora.gr.jp/cards/000096/files/2093_28841.html
)
はて。
自分は一体いま何の音を鳴らしているのでしょうか。
そもそもチューニングがあっていない。EADGでいいのか?
どうやってチューニングすればいいんだ?
チューニングをしたとして、どこが何の音かどう確かめるんだ?
知識が、ない。
こうなるともう試し弾きどころの話ではない。むしろ楽器に試されている。
四苦八苦の末、なんとなくチューニングを済ませ、まずはCの音を確認する。
フレットなど存在しないのだが、ギターではおなじみ5弦3フレットっぽいところを押さえ、(そもそも弦が4本しかないので5弦が存在しない)鳴らしてみる。
BともCともつかない、あいまいな音が鳴る。
少しずらしてもう一度鳴らす。今度はC#に近づいた気がする。
え、わかんねぇ………
ほんの少しずらしただけでめちゃくちゃに音が変わる。ここぞ、という一点で鳴らさないとずれる。難しい…
Cだけでこの有様である。しかもローポジションでは1フレットの幅がラプラタ川並に広いくせに、ハイポジションに行くともうくしゃみしただけで半音上がりそうなくらい狭い。
音の変わり方がデリケートすぎる。赤ちゃんの肌なの?
とにもかくにもどこが何の音なのか、少しずつでも把握しようと、とりあえずYoutubeから音階の音源を探します。ドレミファソラシドを鳴らしてもらって、それに合わせて弾けば正しいポジションもつかめるだろうという賢しい目論見です。
僕はそこで、シャトルランと、出会いました。
シャトルラン、ご存じでしょうか。いや、存じてないわけがないと思います。体育でみんなやると思います。ドレミファソラシド、ドシラソファミレドと、Cメジャースケールの上行・下行を延々と鳴らし、その間20mの幅を往復して走り続けるという地獄の沙汰の競技です。
これが使えました。
他の余計な情報一切抜きに、Cメジャースケールを流し続けてくれる。しかもドシラソファミレド、の下行フレーズまで流してくれる。しかも走った回数をわかりやすくするため、毎回回数もカウントしてくれる。便利。
それからというもの、ポジションを感覚的に覚えるまでひたすらシャトルランを流し、それにあわせてブンブン弾く謎の時間が続きました。狭い部屋にこだまする
…………ブウウ――――――ンンン― ―――――ンンンン………………。&
無機質なシャトルランの声。さぞかし不気味だったことと思います。それこそドグラ・マグラの世界。
人間欲が出てくるもんで、次はAメジャーを、Fメジャーをと弾こうとするとさすがにシャトルランでは対応しきれなくなるので、1日にシャトルランする時間は減りつつありますが、相変わらずシャトルランは毎日欠かしていません。1ミリも走ってはいないのですが。
こういう人、実に多いと思います。
文部科学省だか厚生労働省だか知りませんが、残りの11音階分のシャトルラン音源の開発が急がれます。急務です。
政府は新札発行などより、シャトルランの音源開発に血税を注ぐべきです!
週プレひこーる。は?
つまり何が言いたいかというと、SLB200、おすすめです。
【Black Rebel Motorcycle Club】BRMC 轟音と静謐とサイケな2019.5.1大阪Shangri-Laレポ
さて令和最初のライブはBRMCの大阪公演でした。曲順めちゃくちゃですが一応レポみたいなあれです。
5/1、会場へ向かいながら「ASKAの翌日にBRMC来てる奴はきっとおるまいな...」と謎のレンジの広さに我ながら恐れ入っていたところ、今回の会場が視界に入ってきました。
そして通り過ぎました。
うん?と思って振り向きざま看板を確認すると、たしかに今回の会場名であるところのShangri-Laの文字が視認できます。
小さい。
小洒落た雑貨でも売っていそうな規模の箱でしたがどうやらここで間違いないようだったんで、開場後暫くして入場。ドリンク代が600円でした。先に500円準備してたので慌てて足す。
ジンジャーエールをあおりつつほえーっと待っている間も人が次々と入場してきて一気に超満員に。観客が多いのか会場が狭いのかそのどちらもなのかわかわかりませんが、程よく窮屈です。もう入らないよぉ...
果たして開演時間から20分ほど押して登場。3人とも渋い。ピーター・ヘイズに至ってはゴッドファーザーⅡ感すら感じる。
一曲目は最新作からLittle Thing Gone Wild。しょっぱなからすげえ轟音で、「あ、これうるさいタイプのバンドだ!」と気づく。
King of Bonesはバンドの新機軸とも言える曲で、サイケと分厚い音にディスコみたいなテケテケサウンドが気持ちいい曲。薄々気づいてましたけどあのテケテケはベースで弾いてたわけじゃなかったんですねぇ。さりとてこの曲でようやくベース音のとんでもない分厚さに気づきます。思い出したのはロイヤル・ブラッドのそれ。ベース音というより、主軸になってるくらいの分厚さなんですけど、それでいてたまにハイポジションでも弾くので心地よい。
5thより、Beat The Devil's Tattoo。ここからの盛り上がりが凄まじかった。この曲、youtubeに上がってた映像だとエレキで演奏してたんですけど、ハコが小さいからかスタジオ音源と同じくアコギで弾きだしたんですよ。めちゃくちゃゾクゾクした。I thread the needle through, you beat the devil's tattooのところをいっしょに歌う。ちなみにロバートがアコギ、ピーターがエレキだったのでベースは多分音響?(オルガン?)の方で出してました。
Ain't No Easy Way。ライブでやったら楽しいだろうなと思ってたので嬉しかった。アコギのガチャガチャした音が心地よい。こういう生っぽい音の方がエネルギー感じることってありますよねぇ。アリガトウゴザイマスと日本語で礼。
「昨日(横浜公演)にも来た人いる?」と聞くと何人か手を挙げ、ちょっとはにかみながら「ありがとう」と返す一幕あり。ロバートはなんか、クールながらも人が良さそうな感じ。ピーターはゴッドファーザー。
名曲Berlin。ここでついに沸騰と相成ります。歓声すごかった。ブラックでクールなのに熱い。Suicide is easy what happened to the revolution!という弩級にブラックなフレーズをみんなで叫ぶ。楽しいが異様だ...。
そのままパンクなノリでConscience Killer。あまりみんなで合唱ってタイプのバンドとは思ってなかったんで、イントロのオーオーオオオーオをみんなでオーオーオオオーオできたときその会場になにかが生まれた(儀式じみた高揚感と二酸化炭素だと思われる)。Conscience Killerのキラーの部分もキイィィィィラアァァァア!!と死ぬほど叫ぶ。このバンド、物騒な言葉多くないですか。
ロバートとリアが一旦退場し、ピーターがアコギ一本でHowl収録のDevil's Waitingを披露。一転して静謐な空間ができ、めちゃくちゃ繊細な音と歌声が響く。これがめちゃくちゃ良くて、ギターの音がすごく綺麗に響く会場だったうえ思ってたよりずっと歌唱力高かったので普通に聞き入ってしまった。
今度はロバートが戻ってきてピーターがログアウト。ロバートMCがあって、聞き取れなかった部分も多かったんで想像で補うと、「日本でプレイすると特別なことがあって、いつも不思議な感じするんだけど…曲がそのままの意味で伝わるような感じで、こそこそっと耳元で囁くように歌うような変な感覚なんだけど、ありがたいと思ってて…レアな国なんだ」みたいな感じでした。※これほんとにあんまり聞き取れなかったんで間違ってる部分多いと思いますが、まあなんか要するに日本でプレイすると特別な気分になれてありがたいみたいな感じやね!チュッティ!https://www.youtube.com/watch?v=d1PLbWVYYDw
同様にアコギで始まったのが新作収録のEcho。言ってしまうと個人的ハイライトがここで、元々ベースで演奏されていたフレーズがアコギに置き換えられたことでより歌モノとしての魅力が剥き出しになり、ものすごい名曲だということを思い出します。ちょっと面白かったのが、サビの部分だけピーターがひょいっと現れていっしょにハモって、サビが終わったら帰ってくというやり方だったんですけど、そのハーモニーがレノン=マッカートニーかよってくらいはまってて、なんかこう宗教的な美しさを感じてしまうまでありました。
次回来日が実現したらアコースティックライブでも見たいなーと思った次第です。
バンドが戻ってSpecter At The FeastよりTeenage Disease。I'd rather DIEEEEEを噛み付くように歌い上げ、客もそこに乗っかる。さっきまでの静かな空間はどこへ。
続いてぶっといベースラインが印象的なStop。セカンドからの曲はこれくらいだったかな?
666 Conducer。結構静かめの曲なんで、これを演奏しても大丈夫と思ってもらえたのがなんだか嬉しい。
最後の方は1stからの選曲がかなり多かったんですけど、こうしてライブで見ると1stアルバムってほんとにサイケの要素が強かったんだなーと思いました。それがかなりの轟音で奏でられるので、ゆらゆらグラグラ揺れてるだけでトリップしたような気分になる。Awake、White Palms、Riflesなど、極上のサイケにバリバリした電気的な音が乗って押し寄せてくる。それにしても改めて1stの曲を生で聴くと、BRMCは00年代のガレージロックリヴァイヴァル(ギターロックブーム)とは何にも関係ないところから出てきたんだなー、と認識を改めることになりました。でもそれを貫いてきたからこそ、あの時代のバンドとしては驚くほど着実に歩んでこれたのではないかと思う次第です。
個人的に大好きなRed Eyes And Tearsを聴けたのはポイント高い。サイケなんだけどダンサブルでもある。間奏の部分のチョーキングがめちゃくちゃダークでかっこいい。
そして、同じく1stからSread Your Love。これは鉄板。ベースラインとリズムがぴょんぴょん跳ねるために作られたようなもんで、Spread your love like a fever!という死ぬほど分かりやすいフレーズを歌い上げる。
ラストは、まあそうだよねって感じなんですがWhatever Happened To My Rock'n'rollで幕引き。みんな余力はここで出し切ろうという勢いで跳ねて、歌う。
ひょっとしたらそうかなと思ってたんですけど、アンコールもなく終了。しかしエネルギーは使い果たした。良いライブでした。
さて。
BRMCは音源ばっか聴いてたバンドなので、メンバーの編成とかわかってなかったんですけど、今回驚いたのがピーターとロバートが入れ替わり立ち替わりボーカルを取ること、そして2人の声がめちゃくちゃ似てること。正直言うと全部同じ人の声だと思ってた...。ツインボーカルってレノン&マッカートニーやピート&カールのように違った声質が合わさってうまくいくことが多い気がするんですけど、この2人は兄弟のように同系統の歌声がカッチリはまってて、こんなことってあんのかー、と感心しましたね。あと、wikiには担当楽器がはっきりわけて書かれてるんですけど、2人ともギター弾くし曲によって楽器持ち替えるしで、そのへんもレノン=マッカートニーを思い出したところ。以外に器用なんだな。
そうそう、ドラムのリアは今回一言も喋らず、ひたすらワイルドに叩き続けてました。姉御、かっこいい...。
あと聴きながら思ったことの雑記なんですけど、サイケと轟音って相性いいんでしょうかね。サイケっぽいサウンドが大音量で増幅されると陶酔感が増す感じがするんですけど、これテンプルズのライブに行った時も思ったことでして。サイケで轟音って、それまんまシューゲイザーなんですけど、現代においてもはやサイケ=シューゲイザーみたいなところがあるんでしょうかね。わからん。
さて、横浜がどんなだったかはわかんないので知ってる人教えて欲しいんですけど、少なくとも今回の反応を見るに次回もアルバム出したら来てくれるんじゃないかなと思いました。現場からは以上です。
※Shangri-Laは小さいけどとてもいいライブハウスです!香川県みたいな感じ!
- アーティスト: Black Rebel Motorcycle Club
- 出版社/メーカー: Vagrant Records
- 発売日: 2018/01/12
- メディア: CD
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平成最後のASKAのMCも面白かったので思い出して書いてみる【4/30(火)名古屋レポ】
平成最後のライブは奇しくもASKAとなり、洋楽厨のアイデンティティがぐらぐら揺らぎつつあるんですけど、さておきライブは大変満足だったのでMCを中心に思い出し思い出し書いてみます。今回もおぼろげな記憶頼りにやってるとこなんで相当間違ってるとおもいますがよしなにー。
愛知県芸術劇場にて行われたツアーラストは平成最後の4/30(火)。
今回セトリは前回の名古屋とほぼ同じで、それだけにYAH YAH YAHと急遽演奏したラスト1曲がめちゃくちゃ盛り上がりましたねー。あと個人的にやっぱり「いろんな人が歌ってきたように」が本当に最高だった…。「晴天~」もずっと好きな曲だからうれしいし、「はじまりはいつも雨」は前回より声が出ててより入り込めました。いやーよかったよかった。
では以下、MCの思い出し書き。
・(開幕)待たせたね。
・なんと今日、平成最後ですよ。これね、誰も考えてなかったの。カレンダー見ながら気づいた時は、「俺やっぱ持ってるな」って。
・あんまり剣道やってますなんてステージで話したりしないんですけど…実は今度剣道の全国大会出るんですよ。俺強いんだよねっ。うちはほら、親父も剣道やってるから。やっぱり親子って似る部分があるんだなと思う。よく「歳取ったら親父に似てきた」なんて言いますけど、そうじゃなくて、本当は元々似てたんだと思う。だって、遺伝子に全部そういう情報が入ってるわけだから。ちなみに90になる親父も大会に出場するんですけどね、それぞれ部門が違うから、できれば親子そろって優勝したいな、なんてね。
・ツアーも最後ですね。今日名古屋は追加公演なんですけど、その前に武道館と大阪があったんですね。今回のツアーそれまでとてもいい演奏ができていたな、と思っていて、いざ武道館。僕風邪引いちゃったんですよ。もう、なんでこのタイミングでって感じで。その時はもう、ここだけとにかく乗り切ろうって、点滴2つも入れてどうにかやってたんですけど、もう汗がすごくて。この時のが映像になるみたいなんで見ていただければと思いますけど、ジャケットに写ってるのは模様じゃなくて汗なんで(笑)。それで大阪公演の時にはもう全然声が出なくて、もう身振り手振りで手話を歌詞代わりにしちゃったりなんかして。
・ここにいる人、ほとんど知らないだろうと思いますけど、実は去年配信で6曲くらい出してたんですよ。知らないと思いますけど。それでね、実はもうほとんど曲はできてるんで、12、3曲くらいにして…2月くらいにはアルバムに仕上げたいなと思ってたらもう4月なんですけど(笑)いや、ほとんどできてるんだよ、あとちょっと。
・曲の歌詞って、やっぱりその時代の流れに合わせるものなんですよ。伝えたいこと、普遍的なところはいつだって同じなんですけど、歌ってることはその時代に合わせたものになる。だから、10代、20代の人が「この長い髪とても似合うでしょう 薄目に引いた紅がきれいでしょう」なんて聞くと「え"っ?(妙にうわずった声)」ってなっちゃうと思います。
・あれ、俺なんでこんな話してるんだっけ?
・世の中を2つにわけることって簡単だと思ってて、それは何かっていうと「自分とそれ以外」っていう、それだけなんですよ。
・「その時を守っているもの」っていうのがあると思ってて。今日もステージ上がる前に「今日のステージも何事もなく無事に終わりますように。願わくば、このままシンガーとしてステージに立ち続けられますように」ってお願いしてきたんですけど。そういう「信じる人にとっては存在する、信じない人には存在しないもの」ってあると思います。わかりやすいところで言うと、幽霊なんかがそうだと思うんですけど。信じる人にとっては、存在する…ほら、あなたの隣にも…笑。でも信じない人には存在しない。それでね、ある時を境に、あぁ人生ってそういうもんなんだって思うようになったんですよ。例えば、「願う」って言葉がありますけど、願ってるうちはどこかやっぱり信じきれてない部分があるわけで、そう考えちゃうともうそっちに引っ張られていっちゃう。そうじゃなくて、「こうなるんだ、未来はこう決まってるんだ」って思ってしまえば自然とそっちに向かっていくんだなあって。それでね、そういう風に目標というか、目指してみようかなと思うのが…60代でまたブレイクしてやろうと思ってるんですよ。
・人それぞれ名刺みたいなものがあって、なんとかのなんとかです、とか肩書きみたいなものを持ってますよね。俺は「SAY YESの人」なんですけど。その前はモーニングムーン、その前は万里の河っていう。
・(1部・2部制ともぐもぐタイムの説明の一環で、観客をトイレに促しつつ)膀胱っ…膀胱じゃない。(ここ一、二の爆笑だった)ほら限界ってのがあるじゃない。さっき10代、20代って言いましたけど、50代、60代の人もいるわけで、もうなんか破裂しちゃうかもしれないしねっ。
・(メンバー紹介、澤近さん(Pi))昔音楽にコンピューターが入ってきた瞬間を目撃したんですよ。当時はコンピューターっていうとピコピコした音だと思われてたんですけど、実際に見てみるとそんなことなくて、「これから絶対データの時代になっていくな」って思って。それで、自分でも少しずつそういうものを扱ってみるうちに、自分のコード進行のクセなんかを見直してみたりしてたんですね。スタジオに入ると、納得できるまでアレンジできるときもあれば、手直ししきれないときも出てくるんですよ。ある日、メロディは気に入ってたけどコードは簡単なものしかつけられない状態で彼(澤近さん)に渡したものがあって、後日それを聴いてみたら、こう…「♪~私は今~…プラーイド…(今井美樹の方。前の公演でもやってた)」と。いや、「こうも化けるか」って思ってさ。彼がいなかったらプライドがあんな風にできることもなかったです。
・最近出歩く時はツイッターなんかで見られてないか検索するんだよね。ASKAがここを歩いてたとか言われてることがあるし。前なんか、その場にいないのに目撃情報上がってたことがあってさぁ!誰だよ、っていう。なんか麻布(?)でアナウンサー口説いてたとか言われてさあ、いや誰だよ!っていう。(笑)そういや昔CHAGEに関しても噂が広がったことがあるんですけど、その噂言い出したの俺だから。
・(コーラスの藤田さんへの声に対し)内の女性陣に手出すのは許さないからね!
・実は秋にもツアーを予定してるんでよろしくお願いします。
・今日の夜は「令和おめでとう」なんてやるのかな。言っとくけど俺はやるから、思い出したらいっしょに祝いましょう。
・アンコールのためにいったん引っ込みます!
・「どの曲が一番お気に入りですか?」って聞かれると、「作曲家にとってはどの曲も自分の子供みたいなものだから、どれが一番なんてありません」と言うのが模範解答みたいなところがあって、俺もそう答えてた時期があったんですけど...ま、正直そんなことないんだよね!(笑)やっぱ「これは良く出来たな」ってのはあるよ。本編の最後にやった「歌になりたい」って曲はそうだし、その前はこの曲でした。(→UNI-VERSEへ)
・アンコール終了後、BGMも流れて閉幕モードの最中、「待って待って、いったん止めて。あのさ、あれやろう。リハーサルで何回かやったけど一回も演奏しなかったやつ。...ごめんなさい、もう一曲やらせてください」(→予想外の展開で会場大盛り上がりの後、もう1曲演奏。すいません曲名が思い出せません)
・(突然の曲追加のため急遽スタッフが準備しつつ)照明はFUKUOKAみたいな感じでいいや。さて、日本一の照明の腕の見せ所ですよー!
・また会いましょう。
さてー。思い出せるのはこれくらいなんでそろそろおしまいにします。
前回、2月のコンサートの時のMCはこの記事でどうぞ。↓
https://aognotes.hatenablog.jp/entry/2019/02/28/181929
次、令和初のライブはBRMC。楽しみー。
【Black Rebel Motorcycle Club】BRMCを自分なりにまとめてみた
ブラック・レーベル・モーターサイクル・クラブ(めんどくさいので以下BRMC)が4/30、5/1と2013年ぶりの来日公演を行います。それに際して彼らのサウンドとかアルバムとか曲とかの話です。
ブラック・レーベル・モーターサイクル・クラブと、そのサウンド
このBRMCという人達、自分にとっては変な距離感を保ってきたバンドでして、
「アルバムは聴きこんでこなかったけど、スタンスが死ぬほど硬派だから好き」という意味わからん位置づけだったのです。
一見してキラキラ要素の無いガレージ・ロックであることはわかるんですけど、アルバム全体で聴いてみると意外なほどに曲が分かりづらい。でもその姿勢をデビュー時から全く変えず、ぶれず、それでいてクオリティを下げない、そんな姿勢が他のどのバンドより好感持てる。
硬派で、ハードボイルドで、地味。バンド名が検索しづらい。
そんなBRMC、この度ライブに行くことになったんで改めてアルバムを聴いてみて、自分なりに思った特徴なんかをまとめてみました。あと各アルバムの雑感とおすすめ曲も書いたんでよしなにー。
◆わかりやすいようでわかりにくい
Whatever Happened To My Rockn' Rollみたいなキラー・チューンはYou Sufferくらいの早さで好きになれるんですけど、アルバム全体で聴くとどうも一筋縄ではいかない。
ガレージ、パンク、フォーク系の影響は聴けばわかるんですけど、実は大きな要素をなしているのがシューゲイザーとサイケデリック系の影響だと思われ。ガレージロックバンドにしては妙にスケールのでかい、空間的な音使いをするなぁというのと、あとポップに仕上げすぎないところ、このへんは意図的にやってると思います。あと多分ポストパンクが好き。
◆アコースティックも大きな要素
ビリビリした音圧高いサウンドが特徴でありながら、一方でデビュー時からアコギも大きな要素。実はフォーク方面の影響も強いと思われます。3rdアルバムHowlに顕著。
◆ベースの存在感が強い
適当に音源に合わせてギターとかベース弾いてみたんですけど、パンク系にありがちなパワーコードばかりで構成されてるわけじゃなくて、めちゃめちゃ骨太なベースサウンドが土台になってることがわかる。
さて以下、
各アルバムの雑感とおすすめ曲。
■B.R.M.C(1st)
- アーティスト: ブラック・レベル・モーターサイクル・クラブ
- 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
- 発売日: 2002/03/16
- メディア: CD
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1stアルバム。冒頭の"Love Burns"から3曲目の"Whatever Happened To My Rockn' Roll"までキラー・チューンが続く。骨太ロックにサイケな音作りが混じった名盤。知らない人はとりあえずこのアルバムから聴くといいです。2000年代初期という時代柄、ガレージロックリバイバルのバンドっぽく思われてた節があるけど、聴き直してみるとこの頃から相当捻くれている。
日本盤のタイトル、「ビートルズがやってくる!ヤァ!ヤァ!ヤァ!」みたいになっちゃってんじゃねぇかよ。
❖曲
"Whatever Happened To My Rockn' Roll (Punk Song)":ちょっと気が狂ったのかな?みたいな歪ませまくったベースラインに始まり、ものすごい音圧で駆け抜ける疾走感ある曲。曲名の通りパンクなんだけどヘヴィでもあるのでちょっとモーターヘッドみたいでもある。BRMCのアンセム。
Black Rebel Motorcycle Club - What Ever Happened To My Rock And Roll (Punk Song)
"Love Burns":1stの冒頭を飾る曲。イントロのアコギにドスドス入ってくるドラム、キャッチーなコーラスで即効いっぱいちゅき♡になること必至。
Black Rebel Motorcycle Club - Love Burns
"Red Eyes And Tears":初めて聞いた時、このバンドを気に入る決定打になった曲。サイケでブラックなテイストが捻くれ少年の心にぶっ刺さった。
Black Rebel Motorcycle Club - Red Eyes and Tears
■Take Them On, On Your Own(2nd)
ノイズバリバリの音圧高いロックな佳曲を収録した2nd。ジザメリとか思い出すレベル。歪んだベースの存在感が最も大きいアルバムでもあります。後半の曲がかなり覚えにくいが、ヒリヒリした感触が好きな人、ローファイ好きにはかなり刺さると思われ。
この時期特有のCCCDだったりする点だけがクソ。
❖曲
"Six Barrel Shotgun":BRMC特有のビリビリしたロックサウンドが存分に味わえる疾走感満載の佳曲。
Black Rebel Motorcycle Club - Six Barrel Shotgun (Extended Version)
We're All In Love:こちらもストレートな骨太ロック。途中のC→G→D→Aのとことかベース弾くと滅茶苦茶楽しい。
Black Rebel Motorcycle Club - We're All in Love
Suddenly:イギリスのサイケ系みたいな音作りに似てる気がする。この曲は歪んでないけどベースの心地がとても良い。
Black Rebel Motorcycle Club Suddenly
■Howl(3rd)
異色のアルバム。というのも、トラディショナルな香りすらするアコースティックアルバムなのです。派手さは皆無で、60年代のアルバムでも不思議ではない作り。ハーモニカやオルガンの音色がまたノスタルジックな雰囲気を添えています。
地味ですがシンプルなためか楽曲自体の良さは頭ひとつ抜けていて、個人的には最高傑作といっても過言ではないかも。
❖曲
"Ain't No Easy Way":無骨なアコギサウンドが60年代のフォークシーンにあっても不思議じゃない。
Black Rebel Motorcycle Club - Ain't No Easy Way (Dirty Version)
"Promise":哀愁感じる、温かい楽曲。
"Weight of The World":クールなギターと特徴的なベースラインの絡みがいい。
Black Rebel Motorcycle Club - Weight of the World
■Baby 81(4th)
- アーティスト: ブラック・レベル・モーターサイクル・クラブ
- 出版社/メーカー: BMG JAPAN
- 発売日: 2007/05/23
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ストレートなロック志向のアルバム。名曲"Berlin"を収録。日本版のジャケットを見ればわかるように、エレキ主体で曲もわかりやすいものが多い。サイケ成分も控えめで、聴きやすいと思うので、1stの次に聴くといいかも。"American X"みたいな大作は最初たるかったけど、ライブ映像みたら好きになった。
❖曲
Berlin:ガレージでハードボイルドでクール。Suicide is easyというとんでもない歌詞が連発される。
Black Rebel Motorcycle Club - Berlin (Tess Angus Edit)
"Weapon of Choice":BRMCで一番わかりやすくかっこいいパンクな曲。
Black Rebel Motorcycle Club - Weapon Of Choice (Video - U.S Version)
"Not What You Wanted":さわやかでノスタルジックな印象のちょっと珍しい曲。ジョン・レノンのソロみたいな古き良きロックの香り。
It's Not What You Wanted - Black Rebel Motorcycle Club
■Beat The Devil's Tattoo(5th)
- アーティスト: Black Rebel Motorcycle Club
- 出版社/メーカー: Imports
- 発売日: 2010/03/16
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アコースティック成分とエレキ成分半々くらいのBRMCらしさをごった煮したような作品。ヘヴィネスでいうと一番かもしれない。呪術的とも言えるような怪しげな雰囲気、重い音作り、とにかくブラック。ミンティアで言うとドライハード。一番ドライハードなのは"River Styx"って曲かも。からい。
❖曲
"Beat The Devil's Tattoo":アコースティックの呪術的なリフで始まり、そこにラウドなギターが載る、アルバムを象徴するような曲。
Black Rebel Motorcycle Club Beat the Devil's Tattoo Lyrics
"Conscience Killer":善良な殺人者、みたいな意味でしょうか。性急なひねくれロックでとても良き。
Black Rebel Motorcycle Club - Conscience Killer (Live at Area 4 Festival 2010)
"Mama Taught Me Better":めちゃくちゃヘヴィなロックンロールナンバー。アアアアアー、アアアアー、アアア、が楽しい。
Black Rebel Motorcycle Club - Mama Taught Me Better
■Specter At The Feast(6th)
- アーティスト: ブラック・レベル・モーターサイクル・クラブ
- 出版社/メーカー: ユニバーサル インターナショナル
- 発売日: 2013/03/20
- メディア: CD
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彼らの作品で最も凝っていて、最もわかりにくい、最も地味なアルバム。初めて聴いたときは「テンポ遅え。なんか静かだし。ていうか地味。え、地味」と思った。ただし聴きこんでみると、一番世界観が深いアルバム。音作りが一気にスケールの大きい、壮大なものになった。全編通して聴くと一本の映画を観たような気分に。タイトルの意味はわからんけどかっこよすぎる。よくセールで叩き売りされているのが気に入らない。聴きこむと最高傑作に思えるかも。一見ロック成分低めですが"Rival"や"Teenage Disease"は噛みつくようなボーカルが心地良いロック曲です。Teenage Diseaseって中二病のこと…?
❖曲
"Let The Day Begin":バンドのスケールが大きくなったことを感じさせる曲。でかい会場でも映えそうな、開放感あるサウンド。
BLACK REBEL MOTORCYCLE CLUB - "Let the Day Begin" (Live In Paris)
"Returning":人類滅亡しかけて、残った数少ない人たちが抵抗勢力として戦って、多大な犠牲を出し、傷だらけになりながらも遂に勝利を手中にしてザイオンに帰るときに流れるときのような曲。こいつ何言ってんの。
BLACK REBEL MOTORCYCLE CLUB - "Returning" (Official Lyric Video)
Funny Games:ヘヴィなサウンドから一転爽快感あるコーラスが気持ちいい曲。
Black Rebel Motorcycle Club - Funny Games [Audio Stream]
■Wrong Creatures(7th)
現時点の最新作。曲の明暗(長・短)がはっきりしない曲が多い印象。前作の方向性を引き継ぎつつ、サウンド自体はロックに寄った。リヴァーヴがかかった音作りだからか、地下にある広い空間で鳴らしているような印象。このアルバムを聴いて初めて、彼らが相当シューゲイザー(特に"Ninth Configuration")に影響されていることを意識しました。全体的に大作志向ですが、ポストパンクっぽい雰囲気がめちゃくちゃ気に入りました。
❖曲
"DFF":怪しい雰囲気とドラムサウンドがPiLのFlowers Of Romanceっぽい。
"King of Bones":ディスコみたいなベースサウンドが心地良いサイケな曲。
Black Rebel Motorcycle Club - King Of Bones
"Echo":優しいベースリフがリードする壮大な曲。メロディはBRCM史上でも最もポップだが、後半は神々しさすら感じる。雰囲気的には前作に近いかも。
Black Rebel Motorcycle Club - Echo
"Little Thing Gone Wild":ハ、ハードボイルドーーー!!と叫んでしまう、タバコの匂いがしてくるような曲。
Black Rebel Motorcycle Club - Little Thing Gone Wild
記事書くのめっちゃ時間かかったけど聴きながら曲の感触を文字に起こすのめっちゃ楽しい。5月の頭にはライブの感想も書きます。
【The Raconteurs赤坂4/25レポ】ラカンターズこんなに好きだったっけ、みたいな熱狂
(我ながら前書きがうざいんで■まで飛ばしていただいてOKです)
結局、ザ・ラカンターズのチケットを取ってしまいました。
だって、ジャック・ホワイトだ。
2000年代のバンドでホワイト・ストライプスが一番好きなわけではないし、ソロになってからもそこまで熱心に追いかけてきたわけではない。
それでも、00年代以降のロックにずっと触れてきた人間にとっては、アイコンとしてこの上ない存在であることは確かなわけで。00年代以降、ロックを体現する人物を1人だけ挙げるとしたらこの人になるんじゃないでしょうか。そのくらい絶対的で、徹底した存在。え信者怖...
そんなわけで、チケットを買ったわけです。高え...
さてー。まずなぜ今ラカンターズなのかという話なんですが、それはまあ単純に6月にアルバムが出るからなんでしょうけど、どう見ても来日に積極的ではなさそうなジャック・ホワイトがラカンターズであっさり来日を決めたのはなんか納得いくところがあります。
ラカンターズでのジャックはボーカリストであり、ギタリストでもあり、いちバンドメンバーになれる場です。同じくソロでの活動も経験しているブレンダンと2人でフロントマンを張れる点も大きいと思いますが、自分だけのソロやスーパーグループのデッド・ウェザーよりも幾分か気も楽に活動できてるような印象です。勝手な推測ですけど。
そんなわけで、ひっさしぶりの日本に来るにはなんとなくぴったりなバンドだなと思った次第です。
まあ、とにかくジャック・ホワイトを観られる千載一遇のチャンス。例によってド平日にぶつけてきやがったわけですが、取りました。4/25は2日目の公演に当たります。以下、そのレポ。
■しつこい前置きはさておき、ライブの話。
事前に聞いていた通り、スマホは専用のポーチ(※)を渡され、ライブ終了後まで開けられないようになります。もっと未来ガジェット的な物を期待してたんですけど意外にアナログな代物で、帰りに係員に1人ずつ開けてもらうというやり方。当然ですが帰りがけには長蛇の列が出来上がるんで帰り急ぐ人はささっと帰ってしまうことをお勧めします。
※ポーチ↓。生姜をすりおろす器具ではない。
で、ひっさびさにスマホを全く気にせずライブ見たんですけど、これいいなと思いましたね。最初から触れないとわかってるとスマホに気を散らされることなく、集中して観れる。次回のライブでも電源切っちゃおうかなと思います。
開演前にはガレージでパンクな曲がかかりまくってました。わかったのディープ・パープルのSpeed Kingくらいでしたが。
さて、19時開演のところを7-8分くらい押してメンバーが出てきましたんですけど、もう開演から凄まじかった。みんなジャック・ホワイトに会えなかった10年あまりのあれこれが一気に噴出したかのような盛り上がり。温度変化激しすぎて雲できるんじゃねえかと思いました。いや、本当熱気が目に見えてた。
一曲目はSalute Your Salution。たしかに勢いある曲ですけどここまで盛り上がると思わなかった。みんなピョンピョン飛び跳ね、腕を上げ、首を振り...と、完全に場を制圧。ジャックがソロを引き出すと、あの異様に音圧高い音色にやられ、歓声が上がる。早くも来てよかったなと思う。ちょれえ…
今回、新曲は5,6曲くらいやってたんですけど、掛け値無しに全部良かったです。
特にSunday DriverはYouTubeですでに公開されていたこともあり、新曲といえどもう聴き慣れたもの。あのリフはなあ、そりゃ勝ちよ...ザクザクしたリフ、心地良い。
アコギに持ち替えて、Old Enough。アルバムではトラディショナルな雰囲気の曲でしたが、牧歌的な印象は薄れとにかく気分が高まる楽しい曲になってました。ジャックとブレンダンのコーラスがとてもはまってる。You look pretty in your fancy dress...♪
Level。最初のパン、ポン、パン、ポンのとこ、生で歌うんかいとニヤニヤした。
そういえば、新曲前に「うるさい曲と静かな曲続くけどオッケー?」みたいな(すいませんほとんど聞き取れなかった。誰か教えて)ことを話した後、「次はこんな感じ」っつってチョーキングを多分に含んだフレーズをジャックがエレキで弾く。続いてブレンダンが「見てて」と同じフレーズを弾こうとするんですけど、アコギだからチョーキングできず弾けない...という一幕があり笑いが起こる。このネタMCの鉄板なんだろうなぁ。
さてこのバンド、どの曲でも見てて飽きないんですよねぇ。次に何が飛び出してくるんだろうと、目が離せなくなる。ラカンターズの特徴のひとつとして、リズムパターンが面白いってのと、そこに重なるリフが最強ってのがあるんですけど、ライブだとCD音源より拡張されてパワーアップして、迫力も増し増しで楽しい。
ギターからそんな音色出るんだーみたいなフレーズがポンポン出てくるし、勢いが凄まじいのに実は細部まで凝ってるようでもある。
気づくと、あれ、自分こんなにラカンターズ好きだっけ?と不思議な気分になってました。アルバム買った当時はものすごい聴き込んでたわけでもなかったんですけど、謎だ。
あと普段そんな思わないんですけど、見てるとすげえギター弾きたくなってくる。テクニカルな見せつける類ではなくではなく、ひたすら楽しいギターミュージックだからか。
本編最後の曲はHands。ファーストアルバムの二曲目。間奏で入ってくるファルセットのフッフーゥフーゥ⤴︎ の部分をみんなで歌う。間奏のブリッジミュートのとこ、ワクワクするよねぇ。
さて一旦本編は締め。スタッフがチューニングを施し、準備が整うと、すっと1人出てきたのはベースのジャック・ローレンス。なんか図書館にいそうなおばちゃんっぽくてかわいいなぁと思ってたんですけど、他のメンバーが出てくるまで約1分間、ローレンス兄貴と観客が拍手し合うなぞのほっこりタイムがあってよくわからんがめっちゃ笑った。
他のメンバーもその後ステージに帰ってきます。
今回アンコールめちゃくちゃ長くて、本編終了はあれただの中締めだったんじゃねえの?というくらいの長さでした。実際40-50分くらいあったんじゃないかな。それアンコールって言うのか。
Broken Boy Soldier、Hey Gip、Top Yourself、Steady As She Go、Now That You're Gone、You Don't Understand Me、Blue Veins、Carolina Dramaみたいな流れだったと思います。あと新曲もあったかな?
まずBroken Boy Soldierはラカンターズお得意のエスニックな香りがドスドス迫ってくる名曲なんですけど、カチャカチャ鳴るドラムとリズムチェンジするフレーズで嫌でも体を揺すられる。楽しい!
Hey Gypはドノヴァンのカバー。ドラムのリズムパターンが面白く、流れるような早口の歌詞ですんごいクールに仕上がってる。
Top Yourselfはスライドギターが気持ちいい曲。Top Yourself!と合唱する場面があったんですけど、これってそんなみんなで歌う感じの曲だっけ?と訝しみながらも普通に歌い揃ってて笑う。Top Oneselfって自殺するって意味なの本当ですか...知らんけど楽しい!
そんで満を持してSteady As She Goes。イントロのフレーズがツインギターになってて、うわっ!憎いアレンジー!フゥー!となる。この曲はほぼアンセムと化しているのでどこを切り取っても滾る。本当にただただシンプルな四つのコード鳴らしてるだけなんですけど、それで文字通り踊らされるわけで、これがロックだなと実感することしきり。最後には右側の客がSteady As She Goesを歌って、左側の客がAre you steady now?と返すように指示されると、我々観客大喜びで合唱しだす。楽しい!
正直、これで終わりかなー?と思ってたんで、Now That You're Goneが続いた時は驚きました。この曲、気怠げかフレーズと哀愁漂う雰囲気が同居するちょっと変わった曲なんですよね。
そんでそんで、個人的にこれは聴きたいと思ってて、でもここまでやらなかったら曲は無しかーと思ってたYou Don't Understand Meが始まって高まる高まる。鎮静剤くれ。みんなもおーっと歓声をあげてたんで、待ってたんでしょうねぇ。日本人絶対あの曲好きだよね。ちなみに今回、この曲と新曲の2曲、ジャックがピアノ弾いてた。
その後Blue Veinsで一気にブルージィな雰囲気に。あぁ、この手のギターもお得意よなーと哀愁に浸りつつ思う。どうでもいいけどBlue Veinsでステージライトがずっと緑色だったのは何故なんだろう。
最後は「ありがとう、東京!今回日本に来れたのは僕にとってすごい大きかったよ!」と言って始まったCarolina Drama。最後の歌詞を野々村竜太郎よろしく耳に手をやり観客に歌わせようとしますが流石に歌える人おらず。多分本人もわかってやってるっぽく、笑いながらマイクに戻りました。
なんかやっぱりジャック・ホワイトのことばっか書いてしまったんですけど、実はブレンダンのギターとボーカルも好きだったんでしっかり見てました。ボーカルスタイル含め、クラシックロックっぽさを一番体現してたのは彼だったかも。何よりバンド全体の一体感が凄まじいため、これほどの迫力が出るわけで。万感の思いで目に焼き付けました。スマホないからね。
そう言えばネタバレされないようにロキノンの初日レポ記事終わるまで読まなかったんですけど、どうも2日間のセトリかなり違ったみたいですねー?
ファンへの心遣いか、実験してみたのか、単に2日同じ曲やるのがつまらないからなのか知らないんですけど、そのどれであっても嬉しい。一公演ずつを大事にしていることがわかるから。でも1日目にしかやらなかったConsoler of the Lonely聴きたかった...
また今回嬉しかったのが、ジャックが普通に楽しそうにギター弾いて、気持ち良さそうに歌ってたこと。正直日本の観客とは相性良くないんじゃないかと思ってたんですけど、これまでの空白がなかったかのように良い雰囲気が流れてて安心しました。
そうそう、一番最後なんですけど、ジャック・ホワイトが帰りがけにSee you soon!って言ったんですよ。え、マジ?本当?soon?あんたのsoon10年くらいじゃないだろうな?と思いつつ、なんだか今日のライブの手応えを見てると本当にそのうちあるんじゃないかと思ってしまう、そんなステージなのでした。
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終末期のアルバムが最高に好き、みたいな話
バンドって突然解散する場合もあれば、本人たちが「あぁそろそろ終わりなんだろうな」って自覚してるような場合もあるじゃないですか。
原因としては、メンバーの加齢だったり音楽性の違いだったり普通に仲悪くなってきたり、いろいろ蓄積してきたものがあるんでしょう。
で、後者の場合(解散や活動休止を自覚している場合)なんですけど、その時期に作られたアルバムがめちゃくちゃ良い味出すことがあるんですよ。なんというか、「終末期」に漂う哀愁みたいなものがぷんぷん出てて沁みる。いわゆるわびさび(wabi-sabi)じゃないですけど、「終わりがあるから美しい そんなの分かりたくもないよ(amazarashi)」みたいな感じです。何言ってんの。
以下、そういう「終わりかけ期」に作られた終末感漂うアルバムです。
実質最後のスタジオアルバム。なんというか、最後の思い出作りかのような雰囲気を感じ取ってしまうが、歌詞にはやっぱり当時のギスギス感が反映されたようなものも多い。Octopus Gardenとか。Golden Slumberからの盛り上がりは、まるで映画の締めくくりのよう。
Golden Slumbers / Carry That Weight / The End
◆THEE MICHELLE GUN ELEPHANT『サブリナ・ヘヴン』『サブリナ・ノー・ヘヴン』
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終末期の味と言えばミッシェル。この2枚(+ロデオ・タンデム・ビート・スペクター)に漂う「あぁ…駄目だわこれ世界終わるわ…」みたいな感じがたまらない。ジプシー・サンディーの「どこかに本当に果てというものがあるなら一度くらいは行ってみたいと思う」という歌詞に終末感漂う。
そもそもデビューシングルの「世界の終わり」からして終焉を思わせる内容になっており、ラストライブも「世界の終わり」で締めくくるという、出来すぎな最後を迎えたバンド。2009年、アベフトシの急逝で再結成もあり得なくなってしまったところでより切に響く。
thee michelle gun elephant ジプシーサンデー
THEE MICHELLE GUN ELEPHANT / PINK
◆ROSSO『Emissions』
終末期というか、「いやこれもう終わるでしょ…」みたいな閉塞感たっぷりのアルバム。かなりの緊張感が漂っているが、改めてジャケット見るとちょっと笑う。
◆アリス・イン・チェインズ『Alice In Chains』
ボーカルのレイン・ステイリー在籍時としては最後のアルバム。レインが亡くなったのは本作発表から6年後の2002年だが、本作のレコーディング時にはドラッグの影響でかなり衰弱していたらしく、レインが中々現れなかったりと難航したらしい。アリス・イン・チェインズの楽曲が基本的にネガティブなので、このアルバムが特別ということはないかもしれないが、"Heaven Besides You"など死を思わせる楽曲にこの時期のレインの声が乗ると言い知れない雰囲気が漂ってます。
Alice in Chains - Heaven Beside You
◆スマッシング・パンプキンズ『Machina/The Machines of God』
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再結成前としては最後のスマパンのアルバム。"Stand Inside Your Love"、"I Of The Mourning"は悲嘆の感情が溢れるかのよう。逆に"Try,Try,Try"のような優しい曲調の名曲もある。はっきり言って売れそうな派手さのある曲は少ないんですが、雰囲気含めてスマパンの中でも1,2を争うくらい好き。
"Try,Try,Try"は解散後にネットで無料配信された『Machina Ⅱ』に収録された別バージョンも良いです。そのへんでダウンロードできます。
2018年、ついにジェームズ・イハも参加のほぼオリジナルメンバーで再結成をしたが、アルバムの評価には賛否あるようで。ツアーで日本には来るんでしょうか。ミスチル地蔵のせいで無いかもなあ…
The Smashing Pumpkins - Stand Inside Your Love
◆デイヴィッド・ボウイ『★(Black Star)』
リリース直後に旅立ってしまったこともあり、どうしても遺書のような意味づけをしてしまう作品。本人に自覚があったかは勿論もうわからないのだが、死を匂わすような雰囲気が全編に渡って漂っており、その反面力強さみたいなものも感じさせる不思議な作品。
David Bowie - I Can't Give Everything Away
◆ニック・ドレイク『Pink Moon』
ニック・ドレイクは死後に評価が高まったパターンのシンガーで、発表したアルバムはどれも売り上げが伸びず。3枚目のこのアルバムを収録した時点では失意の底にあったとのこと。30分ほどの短いアルバムで、アレンジもなくシンプルに、静かに歌われる楽曲が続くが、優しい歌声に底無しの悲哀が感じられてもう。最近ジェイク・バグがカバーしててコメント欄がそこそこに荒れてた。
◆ニルヴァーナ『In Utero』
1993年発の3作目でラストアルバム。本人達が最後と思っていたか、今はもうわからないですが、マイナーキーの曲が圧倒的に多いバンドにおいてこのアルバムのラストトラックである"All Apologies"が暖かく響くところに終わりを感じ取ってしまう。"What else could I be?"という歌詞が切ない。カートが自殺するのは本作リリースの1年後。
Nirvana - All Apologies (MTV Unplugged)
◆クイーン『Innuendo』
フレディ・マーキュリー存命時では最後のアルバムで、このころにはHIVの症状がかなり進んでいたとのこと。ラストトラックの"The Show Must Go On"にはバンドの壮絶な覚悟が表れているような気がする。映画"ボヘミアン・ラプソディ"ではエンディングに使われてましたねー。
Queen - The Show Must Go On (Official Video)
なんかもうちょっと書きたいアルバムがあった気がするんですけど、出てこないんでたまったら書こ